診療予約

ブログ

わんちゃんの狂犬病予防について

2024.05.07

こんにちは。

動物病院 京都 四条堀川 獣医師 尾関康江です。

暖かくなるこの時期に市町村の役所から封筒が来るのをご存じでしょうか?それ、狂犬病ワクチンについてのお知らせなんです。

今日は狂犬病予防についてお話したいと思います。

狂犬病とは?

狂犬病は人獣共通感染症の1つで狂犬病ウイルスが原因です。発症するとヒトでもわんちゃんでも有効的な治療法がなく致死率はほぼ100%です。

ウイルスは病気に感染した動物の唾液中に多く存在します。この為感染した動物に咬まれる事によって、傷口からウイルスが侵入します。このウイルスは発症の2週間程前から動物の唾液中に存在するとされています。

日本は狂犬病清浄国、すなわち狂犬病ウイルスが存在しない国です。ではどうして狂犬病に対する予防が必要なのでしょうか?

それは、アジアを含む世界各国で狂犬病が発生しているので日本に持ち込まれる可能性がある為です。また、狂犬病のヒトへの感染を防ぐ為にもわんちゃんへの狂犬病予防を実施しましょう!

どのような症状が出るのでしょうか?

初期には性格の変化、異常行動が見られます。急にヒトに嚙みついたり攻撃性を持ったりします。またヒトを避けたり、逆に近づいてくる場合とあります。その後、興奮状態、吠え声の変化、光や音に過敏に反応する様になります。さらに進行すると、全身が麻痺し歩行が困難となり、涎を垂らすなどして昏睡状態となり死に至ります。

狂犬病に対する予防は?


日本国内では狂犬病予防法といって生後90日齢以上のわんちゃんに狂犬病ワクチンを接種することが義務づけられています。その後は年1回の追加接種が必要になります。

役所の手続きの関係で毎年4-6月に接種の通知が届きます。この時期でないと接種できないわけではありませんので、その他の混合ワクチンやフィラリア予防と合わせて実施しましょう。

価格は?

市町村によって異なりますがおおむね注射料金が3000円程、済票発行料が800円程かかります。初年度の接種はこの他、自治体への登録料がかかってきます。登録されたわんちゃんはバッチの様なものを、また済票は大事なものなのでなくさないようお家に保管またはリードに着けておきましょう!

初年度は動物病院での接種をお勧めしますが、例年接種されていて動物病院の来院が苦手なわんちゃんは、集合注射でも接種を実施していますので自治体ホームページをご確認下さい。是非毎年接種を行い私達やわんちゃんを病気から守りましょう。

ワクチンの安全性は?

狂犬病ワクチンは「不活化ワクチン」といって、ウイルスを死滅させて感染能力を失わせた後、免疫をつけるために必要な成分を取り出して作製されています。この為、副作用は出にくいとされていますが、それでも体に抗体をつくる指令が出るので、接種後はいつもより元気や活動性が落ちることがあります。

また、ワクチンアレルギーの強いアナフィラキシーショックという症状が出る事もありますので、ワクチンを打った後は15分程動物病院の中で様子を見てからお家に帰るようにしましょう。

高齢になってきたり、病気があったりするときは?

狂犬病ワクチンは先にも述べたように年1回の接種が法律で義務付けられています。ただ、わんちゃんの年齢、持病によってはワクチン接種によって体調の悪化が懸念されることもあるかと思います。もしご不安な事がありましたらお気軽にスタッフまでご相談下さい。

まとめ

日本は昔(70年程前)は狂犬病がありましたが、獣医師や飼い主さんの地道な努力によって撲滅出来、洗浄国となり現在でも維持されています。清浄化されたのでワクチンは接種しなくても良い、大丈夫だろうではなく、清浄国を維持していく更に二度と狂犬病が日本に入って来ないよう高いワクチン接種率を皆さんで維持していきましょう!

どうぶつ病院 京都 四条堀川
作成 獣医師 尾関康江
監修 獣医師 小川修平