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愛猫が吐いちゃった!すぐに病院に行った方が良い?

2024.05.28

こんにちはどうぶつ病院 京都 四条堀川 獣医師尾関康江です。
ぽかぽか陽気が続いてお家のねこさんはひなたぼっこをしている頃でしょうか?

今日はそんなねこさんが吐いてしまった時にどうしたら良いかについてお話しようと思います。

ねこさんは健康な子でもよく吐くことがあります。理由としてはいくつかあるのですが、普段から自分の体を毛づくろいし毛をよく飲み込む為、胃に毛玉が溜まると吐きます。また、ヒトと異なり四足歩行なので胃や腸が横に並ぶという構造上の問題で吐きやすいとも言われています。更に食道の筋肉(横紋筋)の構造上、わんちゃんに比べて消化に時間がかかるため、食道に食渣が溜まりやすく吐き戻しをします。

吐く原因は?

原因はさまざまですが、多いものをピックアップしてご説明します。

・毛玉の不快感

先にお話した様にねこさんはグルーミングがとってもすきなので、沢山の毛を同時に飲み込んでいます。換毛期である春と秋先では特に吐く様子が多いかもしれません。吐いた物が毛玉で、その後いつも通り食餌をしていたら大きな問題はないことが多いです。

・食餌

いつもより急いで食べたり、食べすぎたり、普段とは異なる食餌をすることで腸が痙攣したり、腸内細菌のバランスが変わり吐きます。
また、朝起きた時に床に白っぽい泡状の吐き跡を見たことがあるかもしれません!これは空腹で胃酸が沢山分泌された為に吐いたものなので、健康上問題がない事が多いですが給餌の時間や内容に工夫をした方が良いかもしれません。
また、ある特定の食べ物に対して免疫が異常に働き、痒みや脱毛といった皮膚の症状を示す食餌アレルギーも吐く症状が出ることがあります。

・環境変化

ねこさんは環境の変化によりストレスを感じやすい動物です。来客があった、帰省した、ペットホテルを利用した、引っ越しした、周辺で工事をしているなど最近変わったことがなかったか様子をみてあげましょう。

・異物 誤食

ねこさんはおもちゃで遊ぶのが大好きですよ。そのため、ねこじゃらしの先、紐、ビニール、ウレタンマットなどといった物を誤食することが多いです。あにあにしながら気づいたら飲み込んでいたというケースが多いです。胃のなかでころころしている状態だとまだ気持ち悪さがあるものの食欲など日常生活には影響が出ません。胃や腸で異物が詰まってしまうと、食餌が通過出来ずに吐いてしまいます。

・薬剤

薬の特性により吐くことがあります。投薬による刺激や薬の作用で胃腸の動きがいつもより落ちて吐き気をもたらします。

・胃腸の病気

胃炎、炎症性腸疾患(IBD)、胃腸の腫瘍、ポリープなどが挙げられます。病態にもよりますが初期は「いつもより吐く回数が増えたかしら?!」という位ですが、病態が進行するに伴って食欲が落ちたり、下痢を伴うことがあります。

・2次的な嘔吐

胃腸の病気以外で腎臓や肝臓に疾患がある場合に吐くことが多いです。

腎臓は老廃物をおしっことして排出させていますが、腎臓の機能がおちると老廃物が体に溜まりやすくなります。ある一定ラインを超えてくると吐く頻度がいつもより多くなります。

肝臓は摂食した時に代謝されるアンモニアを解毒する作用があります。肝臓の機能がおちると悪心を生じたり食欲が落ちたりします。

また、甲状腺機能亢進症という病気でも2次的に嘔吐の症状をもたらすことがあります。甲状腺は体の代謝を調整する臓器で、甲状腺ホルモンを全身に行き渡せることで身体を活発にさせています。食欲が落ちることはあまりないものの、消化管の動きが活発になることで吐き気をもたらします。

この3つは中高齢から高齢のねこさんでよく発症します。

またねこさんの膵臓と十二指腸は密接に関連している為、膵炎(原因は様々ですが膵臓で炎症が起こり、消化酵素が外に漏れる状態)になると吐き気をもたらすことがあります。かならず吐くわけではないですが、こちらはどの年齢のねこさんでも発症する為注意が必要な病気の1つです。

・食道の病気

先にお話した様にねこさんは食道の構造上消化に時間がかかる為、食後吐くことがあります。その他、食道に炎症や腫瘍があると吐くことが多く、食欲低下も同時に見られることが多いです。

・感染症

細菌、ウイルス、寄生虫といったものが原因となります。どちらかというと下痢の方が目にしやすいですが、多数の寄生虫がいると吐いたものの中に混じっていることがあります。

・食道の病気

先にお話した様にねこさんは食道の構造上消化に時間がかかる為、食後吐くことがあります。その他、食道に炎症や腫瘍があると吐くことが多く、食欲低下も同時に見られることが多いです。

・感染症

細菌、ウイルス、寄生虫といったものが原因となります。どちらかというと下痢の方が目にしやすいですが、多数の寄生虫がいると吐いたものの中に混じっていることがあります。

それって嘔吐?

少し余談になりますが、皆さんねこさんが吐いた時の姿を見られた事はありますでしょうか?「吐く(嘔吐)」というのは胃に溜まった内容物を口の外に排出する行動を示します。その為に腹筋を目一杯に動かして食べたものを排出させます。一方、「吐出」というのは突然口から外に吐き出す行動を示します。胃に入る前のものが出てくるので、出した食餌とほぼ同様の見た目というのも特徴です。もし目の前で吐く行動を見られた場合は参考にして見てくださいね。

動物病院での検査内容

・嘔吐物のチェック

元々誤食をする癖のあるねこさんもですが、ごみ箱(生ごみ入れ)が荒らされている!そういえば机の上にあったものがない?!などと誤食を疑わせる場面があった場合にも獣医師にお知らせ下さい。
また、吐いた物の色(白っぽい、血が混じる、黄色っぽいなど)、吐いた回数なども原因追及のヒントにつながりますので、分かる範囲で教えて下さいね。

・血液検査

今のねこさんの体の状態を確認します。血の濃さ(貧血の有無)、炎症像の有無、ミネラルバランスの崩れ、腎臓、膵臓、肝臓などの数値を確認します。

・レントゲン検査

体の写し絵で、麻酔をかけずに行うことができます。(ねこさんの性格によっては鎮静剤を使用しなければいけない場合がありますのでご了承下さい)

胸では心臓の大きさ・形、気管・気管支・肺、食道の状態などを、お腹では臓器(胃・小腸・結腸・肝臓・脾臓・腎臓・膀胱など)の位置や形に異常がないか、消化管内の様子や、お腹に異常なガスがないか、腫瘍や腹水がないか、結石ができていないか、などを確認します。

異物の誤食が疑われる場合にも有用ですが、レントゲンでは映りにくい(映らない)ものもありますので、超音波の検査と合わせて評価します。

・超音波検査

エコー検査でこちらも体を傷つけることなく確認できます。(当院では鮮明な画像を描出する為、お腹の毛刈りにご協力頂いております)ねこさんの消化管、肝臓、膵臓、腎臓、膀胱といった具合に確認をしていきます。

レントゲンと超音波検査は食餌後の場合、正確な評価を行いづらい場合がありますので、緊急時以外は絶食下でご来院されることをお勧めしております。

これらの検査結果を総合的に組み合わせて診断につなげていきます。

その他

・造影レントゲン検査(バリウム造影)
・内視鏡検査
・試験開腹術
・CT検査
※個々の詳細は別ブログでお話しようと思います。また、ご診察の中でお伝えすることもできますので、詳しくは獣医師にご相談下さい。

動物病院での治療内容

吐いている原因によって治療内容が異なってきます。吐き気や胃酸を抑える、胃の粘膜を保護するお薬だけで様子をみる場合や、食餌が摂れていない場合は水分補充の為の点滴を行うこともあります。
また、消化管の病気が原因であった場合はそれに基づいた治療を行っていきます。

様子を見ても良い?

ねこさんが吐いている時、動物病院を受診するかは吐く様子が数日続いているか、また吐く以外の症状があるかという点が大きな指標になります。ただ、症状が嘔吐だけでも例えば食餌の内容や給餌時間、環境の変化など工夫できることもありますので、お気軽に獣医師までご相談下さい。

まとめ

吐く原因は多岐にわたります。病院が苦手なねこさんも多いかと思いますが、中には緊急性が高い病気も含まれますので心配なことがある場合は早めに動物病院を受診しましょう。

どうぶつ病院 京都 四条堀川
獣医師 尾関康江