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犬のアジソン病について|犬のアジソン病の症状と治療について獣医師が解説

2024.11.05

こんにちは。
どうぶつ病院 京都 四条堀川 獣医師 尾関康江です。

「動物病院でストレスに対して弱くなっていると言われたが具体的にどういう状態だろうか?」
「最近何となく元気がなさそうに見えるが、何か病気の兆候だろうか?」
といった悩みをお持ちではないでしょうか?

今回は、犬の飼い主様に

  • 犬のアジソン病とはどういうものか
  • 症状はどういったものがあるのか
  • 治療方法

について解説します。
ぜひ、最後までお読みいただき、飼い犬の健康ケアにお役立ていただければ幸いです。
一部専門用語を含みます。ご了承ください。

アジソン病(副腎皮質機能低下症)とは

アジソン病は、副腎の機能が低下する病気で、副腎皮質から分泌されるステロイドホルモンが不足することで発症します。副腎皮質機能低下症とも言われます。

副腎とは、左右の腎臓の付近に存在する小さな臓器であり、ホルモンを分泌する内分泌腺の1つです。体内環境を一定に保つ役割を担っています。

副腎皮質から分泌されるホルモンは2種類あり、

  • コルチゾール
  • ミネラルコルチコイド

に分かれます。

前者は、体の代謝、免疫反応、ストレス対処を担っています。後者は体の電解質や水分量を調整します。一般的なアジソン病はこれらのホルモンの分泌が両方とも低下します。一部のアジソン病はコルチゾールの分泌だけ低下する型があります(非定型型アジソン病)。

アジソン病の原因

アジソン病の原因ははっきりと分かっておらず、9割が特発性だと言われています。原因場所によってホルモン分泌に関与する副腎と、副腎から分泌されるホルモン量をコントロールしている下垂体の2つに大別されます。

副腎の異常

多くは特発性(原因不明)で明らかな原因はよく分かっていませんが、自己免疫の異常によって副腎皮質が小さくなってしまうのではないかと言われています。

医原性

ステロイド製剤(グルココルチコイド)の長期使用によって副腎が委縮してしまうことで発症します。

脳の異常

脳の中にある下垂体と呼ばれる場所からは、副腎でのホルモンの産生を促すホルモンが分泌されています。下垂体の腫瘍や炎症、感染、頭部の損傷があって2次的にアジソン病が発症することがあります。

アジソン病の症状

アジソン病にはこの病気特有の症状はありません。普段から見られる胃腸炎、腎臓病などと同じ症状が出てくるため、最初はアジソン病と気づかないこともあります。

アジソン病のよく見られる症状は以下の通りです。症状が続く場合は、早めに動物病院を受診するようにしましょう。

  • 元気の低下
  • 食欲不振(体重減少)
  • 震え
  • 嘔吐・下痢
  • 多尿

進行していくと

  • 脈が遅くなる(徐脈)
  • 体温の低下

が認められます。

アジソンクリーゼ

アジソン病にはアジソンクリーゼと呼ばれる命に関わる緊急的な状態になることもあります。アジソン病の犬はストレスに対処するコルチゾールの分泌が低下しているため、普通の犬よりもストレスに弱い傾向があります。過度なストレスが加わると突発的にショック状態に陥り、虚脱や意識消失、痙攣などを起こすことがあります。アジソンクリーゼの状態は危険で、緊急に治療を行う必要があります。

アジソン病の治療

アジソン病は副腎から生命維持に必要な量のホルモンが分泌されなくなるため、内服薬でホルモンを補います。薬を飲み始めてすぐの期間は、体調の変化に注意しながら、定期的な受診をしましょう。アジソン病は残念ながら完治が難しく、生涯投薬が必要になります。また過剰なストレスはアジソンクリーゼを起こす可能性がありますので、トリミング、旅行、引っ越しなど環境が変化しうる可能性がある場合は事前に獣医師に相談するようにしましょう。

まとめ

アジソン病はそのほとんどが特発性のため予防法がありません。見つけにくい病気ですが、投薬と体調管理により健常な犬と変わらず長生きできる病気です。普段と何か違うなと感じるときは、動物病院に相談しましょう。また、定期的な健診も早期発見につながります。

どうぶつ病院 京都 四条堀川
獣医師 尾関康江