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犬の甲状腺機能低下症|中高齢の犬で多い甲状腺機能低下症について獣医師が解説

2024.11.19

こんにちは。
どうぶつ病院 京都 四条堀川 獣医師 尾関康江です。

「動物病院で甲状腺の病気だと言われたが、具体的にどうゆう病気だろうか?」
「最近、何となく元気や活動性が落ちてきているけれど、歳のせいだろうか?」
といった悩みをお持ちではないでしょうか?

今回は、犬の飼い主様に

  • 甲状腺機能低下症とは
  • 甲状腺機能低下症の症状
  • 治療

について解説します。
中高齢の犬でよく見られる病気ですので、ぜひ、最後までお読みいただき知っていただければ幸いです。
一部、専門用語が含まれますのでご了承ください。

甲状腺機能低下症とは

甲状腺機能低下症とは、甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンが少なくなって起こる病気です。ヒトでいう橋本病に似た病気です。甲状腺ホルモンは体の新陳代謝を活発にする働きをしています。このため、甲状腺機能低下症ではほぼすべての臓器に影響を及ぼします。

甲状腺ホルモン

甲状腺ホルモンは生命の維持に大切な役割をなしています。喉のやや下(ヒトでいうのどぼとけ)気管の両側にある甲状腺という組織から分泌されています。全身の代謝を担うホルモンで、体の新陳代謝を活発にします。具体的には、

  • 心臓を早く、強く動かす
  • 胃や腸を活発に動かす
  • 骨の成長を促進する

などといった様々な臓器の働きを調整しています。

甲状腺機能低下症の原因

甲状腺機能低下症の原因はほとんどの場合、甲状腺に問題があります。

自己免疫性

免疫系が誤って自分の組織を壊していくことで、甲状腺ホルモンの産生が減少します。

甲状腺の萎縮

原因不明の甲状腺萎縮により、甲状腺ホルモンの産生が減少します。

甲状腺の組織が75%以上破壊されたり、萎縮 委縮すると臨床症状が出るとされています。その他、まれですが甲状腺・下垂体の腫瘍、先天的な分泌不足が原因になることがあります。

甲状腺機能低下症の症状

甲状腺機能低下症の症状は多岐にわたり、また明らかな症状を示さない場合があります。代表的な症状は以下の様なものです。

  • 活動性の低下
  • あまり食べないけれど太ってくる
  • 毛が薄くなったり、脱毛する
  • 顔や顔面の皮膚がむくんだように分厚くなる
  • 徐脈

症状が進行していくと、ふらつき、顔面神経麻痺、昏睡などが見られる場合があります。

甲状腺機能低下症の治療

甲状腺機能低下症の治療は、甲状腺ホルモンの補充が一般的です。甲状腺の機能自体を回復させることは難しいため、基本的には生涯投薬が必要になります。治療開始から1~2週間で活動性が、数週間で血液検査が、1〜2か月程で、皮膚の状態や神経症状の改善が認められます。治療開始後は定期的に身体検査や血液検査を行い、薬用量が適正であるかモニターします。

他に基礎疾患が原因で2次的に甲状腺ホルモンの分泌が減少している場合は、そちらの治療を併用して実施する必要があります。

まとめ

低下した甲状腺の機能が回復することはないため、生涯投薬が必要になりますが、予後は良好です。中高齢になり何となく元気がない、太ってきた気がするなど当てはまる症状が出ている場合は早めに動物病院を受診するようにしましょう。

どうぶつ病院 京都 四条堀川
獣医師 尾関康江