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ねこさんのノミ・マダニ予防について

2024.05.14

こんにちは。

どうぶつ病院 京都 四条堀川 獣医師 尾関康江です。

暖かくなる4月、5月はわんちゃんやねこちゃんにとって予防シーズン到来ですね!今日は、特にねこさんの予防についてお話したいと思います。

お家のねこさんにどんな予防をされていますでしょうか?お外に行かないねこさんにも大事な内容になっていますので是非読んでみて下さいね。

ノミについて

ノミは日本国内で80種類ほどいますが、ねこちゃんにつく代表的なものはネコノミです。ぴょんぴょんとよく跳ねるのが特徴で、発見してもすぐに見失ってしまうことが多いです。ノミは暖かい季節や湿気の多い場所が好きで、7~9月が活発になります。ライフサイクルは温度や湿度によって異なりますが、気温が13℃以上で繁殖能力があり、メスの成虫が寄生すると1~2日後から毎日30個産むとされています。

ノミによって引き起こされる病気は?


ねこさんにノミが大量寄生すると皮膚炎を起こします。代表的なものがノミアレルギーや好酸球性皮膚炎です。

(ノミアレルギーの皮膚)

また、ノミを介して瓜実条虫という消化管の寄生虫も注意が必要です。


(瓜実条虫)

また、ヒトが気を付けなければいけない病気として猫ひっかき病があります。ネコノミに感染したねこさんはグルーミングによって、ノミの排泄物を牙や爪に付着させています。このネコノミがバルトネラ菌に感染していると、ねこさんに引っかかれたり、咬まれたりすることでヒトにも感染する可能性があります。猫ひっかき病の原因菌は基本的に夏場に感染しやすいですが、保菌したねこさんが秋口に室内で過ごすことで感染を広めることもありますので、夏から秋に予防が大切です。

マダニについて

マダニは最近ヒトでも死亡例が報告されているSFTS(重症熱性血小板減少症候群)を媒介します。また、耳に寄生するミミヒゼンダニがいます。マダニは野外や草むらに多く存在し吸血すると数倍以上のサイズになるため眼に見えますが、ミミヒゼンダニ(以下写真)は顕微鏡レベルでしか見えない小さいものになります。

マダニは卵から幼化して幼ダニ→成ダニへと成長していきます。成ダニが増える春、幼ダニが増える秋と年間を通して活動しています。

マダニによって引き起こされる病気は?

先に述べたSFTSがあります。SFTSは熱が出たり、元気や食欲が落ちます。ねこさんが咬まれたマダニを介して人にも同じような症状を起こすと言われていますので特に注意が必要です。マダニが皮膚を吸血すると唾液が入ります。その唾液がねこさんに入るとアレルギー反応や皮膚炎を起こし痒みをもたらします。また、ヘモプラズマ感染症にも注意が必要です。赤血球に感染するもので、発熱や貧血を起こします。

ノミマダニに対する対策は?

うちの猫は室内飼いだから予防しなくても大丈夫じゃないの!?そう思われている飼い主さんは多いかもしれません。ねこさんがお外に行かなくても私達 ヒトが持ち帰ることがあるのです!ノミはとても飛躍力が高いのでヒトの衣服や靴にひっついて家の中に侵入します!また、わんちゃんも一緒に飼われているお家ではわんちゃんのお散歩で着いたノミが家に侵入してくることもあります。その他お家の近くで地域猫さんが住んでいる、ベランダや玄関に他のねこさんが立ち入ることがある場合も同様にノミが室内に侵入します。

ノミは繁殖能力がかなり高いので一度でも室内で繁殖すると、完全に駆除するのはとても大変な事です。また、気温が低い冬でも予防しておくことをお勧めします。その理由としては最近では暖房器具によって室内が暖かく保たれていたり、室内にカーペットや畳を敷いたりとノミに取って好環境が整っている為です。(実際、動物病院 京都のスタッフや飼い主さんのお家でノミが発生し、バルサンを炊いたり、ねこさんが皮膚病にかかったりと大変なお話を聞いていますので是非予防をしましょう!)

定期的な駆虫剤の投薬、投与が必要になります。主に首元に垂らすスポットタイプになります。駆虫剤によって、フィラリア、ノミ・マダニ、消化管寄生虫の予防範囲、また投与間隔が異なります。

※フィラリア予防、ノミ・マダニ・耳ヒゼンダニ対策、消化管寄生虫駆除
・ネクスガードキャットコンボ
・レボリューションプラス

※ノミ・マダニ対策、消化管寄生虫駆除
・アドボケート

※ノミ・マダニ対策
・ブラベクト(3ヶ月毎)
・フロントライン


それぞれねこさんに合うものを選んであげましょう。また、私たちができることとして
・帰宅後ねこさんに接触する前に清潔な衣服に着替える
・玄関やベランダなど他の猫さんが来る場所への出入りは注意する
・部屋の墨、カーペット、ソファの小まめな清掃
があります。

また少し余談になりますが、この時期は地域猫さんが子猫を産むシーズンでもあります。子猫さんを拾われた場合、先に述べたノミ、また耳に寄生するヒゼンダニがついていることがありますので、早めの動物病院を受診しましょう。また、耳に寄生するミミヒゼンダニはペットショップで購入された子猫さんでも診察中よく見かけます。実際に眼に見えないので分かりにくいのですが、ペットショップから購入した後、「耳をよく掻いているな」「耳垢が多いな」などありましたら、是非獣医師にご相談下さい。

これから暑い時期、ねこさんが快適に過ごせるように予防を努めましょう。

どうぶつ病院 京都 四条堀川
作成 獣医師 尾関康江
監修 獣医師 小川修平