2025.04.29
目次
最近では犬のドッグフードの種類が増えて、選択肢が広がりましたね。その一方で、
「どうやって愛犬に最適なドッグフードを選んだら良いの?」
「体に優しいなど書いてあるけれど、本当に健康に良いの?」
「愛犬がそろそろシニア期だけれど、フードは変更した方が良いの?」
などといった疑問をおもちではないでしょうか?
今回は、犬の飼い主様に
について解説します。
ぜひ、最後までお読み頂き、愛犬の健康維持と楽しい食事時間につながれば幸いです。
ドッグフードには様々な種類があり、栄養基準や形状によって分類されています。犬の健康を維持するためには、それぞれの特徴を理解し、年齢や健康状態に合ったものを選ぶことが大切です。
ドッグフードは目的や栄養バランスによって、大きく4つに分けられます。日本のペットフード公正取引協議会は「ペットフードの表示に関する公正競争規約」において、「総合栄養食」「間食」「療養食」「その他の目的食」という分類を定めています。
総合栄養食は、犬の主食として必要な全ての栄養素がバランスよく含まれているフードです。AAFCO(米国飼料検査官協会)などの基準を満たし、その成長段階で必要とされる栄養素を過不足なく摂取できるように設計されています。
基本的にはこのフードと水だけで1日に必要な栄養素を摂ることができるので、犬の主食には、必ず「総合栄養食」と表示されているフードを選ぶことをおすすめします。
間食は、いわゆる「おやつ」に相当するフードです。しつけのごほうびや犬とのコミュニケーションツールとして活用されています。
与えすぎると栄養バランスが崩れる可能性があるので、総合栄養食の摂取量の10~20%程度に抑えましょう。
療法食とは、特定の病気に対応するために、栄養バランスが特別に調整されたドッグフードです。一般的には獣医師の処方や推奨に基づいて使用されます。
犬も人間と同様に、いくつかの疾患では治療の一環として食事管理が大事です。例えば腎臓病であれば、特定のタンパク質や塩分を控えたり、皮膚トラブルであれば、特定のタンパク質を制限したり、アレルギーを起こしにくい原材料を使用したりしています。
その他の目的食は、特定の目的を持って作られたフードで、総合栄養食でも間食でも療養食でもないものを指します。
ふりかけるタイプや特定の栄養素を強化したもの、嗜好性を高めるためのフードなど種類は多岐にわたります。例えば、毛づやを良くするための栄養強化タイプや、年齢とともに気になる関節をサポートする成分を含む製品などがあります。
製品の表記に従って、基本的には総合栄養食と併用して使用しましょう。単体では栄養バランスが不十分な場合があるためです。
ドッグフードは栄養基準だけでなく、形状や水分含有量によっても分類され、ドライ、半生、ウェットの3つに分かれます。それぞれの特徴を解説します。
ドライフードは、水分含有量が約8~11%と少ない「カリカリ」としたタイプです。
メリットとしては、以下の点が挙げられます。
ただし、水分摂取が不十分になる可能性があるため、特に老犬や歯のトラブルがある犬の場合は注意が必要です。
水分含有量が約72~85%と高く、缶詰やパウチタイプで販売されているフードです。
メリットとしては、以下の点が挙げられます。
注意点としては、ドライフードと比較すると割高になり、開封後は冷蔵保存でも2〜3日程度で使い切る必要があります。また、歯に付着して、歯石となりやすい傾向にあります。
水分含有量が約25~35%で、ドライフードとウェットフードの中間的な性質を持つフードです。
メリットとしては、以下の点が挙げられます。
注意点としては、嗜好性が高い分、カロリーが高めである場合が多いため、与えすぎると肥満の原因となることがあります。また、保存性を高めるため防腐剤などの添加物が使用されていることがあるため、購入時はパッケージの成分表示をよく確認することが大切です。
犬のライフステージや健康状態によって、必要な栄養素やフードの形状は大きく異なります。ここでは年齢別の選び方と、特定の健康状態に対応したフード選びについて解説します。
子犬期は急速な成長と発達が見られる重要な時期です。目安としては、小型犬なら生後約10ヶ月まで、中型犬なら約1歳まで、大型犬なら約1歳半までが子犬期とされています。
選ぶポイントとしては、以下の点が挙げられます。
子犬は成犬に比べてエネルギー必要量が多く、体重あたり約2倍のカロリーが必要です。また、骨や筋肉の発達を支えるタンパク質やカルシウム、脳の発達に重要なDHAなどが豊富に含まれたフードを選びましょう。
消化器官がまだ発達途上のため、消化しやすい原材料で作られたフードが適しています。
犬種によって適切な粒のサイズも異なるため、小型犬用・中型犬用・大型犬用などサイズに合わせたフードを選ぶことも大切です。
パッケージに「子犬用(パピー)」「成長期用(グロース)」と表記されている総合栄養食を選びましょう。
成犬期は、小型犬なら約10ヶ月~7歳、中型犬なら約1歳~7歳、大型犬なら約1歳半~5歳くらいまでの期間で、犬の一生の中で最も長い期間です。この時期は健康維持と適切な体重管理が重要になります。
選ぶポイントとしては、以下の点が挙げられます。
成犬の間は、成長が止まることでエネルギーの消費量が減り、比較的太りやすくなります。成犬用ドッグフードは、こうした生活環境を考慮し、適切なエネルギー量と必要な栄養素のバランスが調整されています。
避妊・去勢手術をした犬は、ホルモンバランスの変化で代謝が落ち、さらに太りやすくなります。そのような場合は、カロリーが調整された「ライト」や「ダイエット」などの表示があるフードを検討しましょう。
また、被毛の美しさを保つための脂肪酸や、関節をサポートする成分など、犬種ごとの特性や悩みに対応した成犬用フードも多く販売されています。
パッケージに「成犬用(アダルト)」「維持期用(メンテナンス)」と表記されている総合栄養食を選びましょう。
シニア期は、小型犬・中型犬なら約7歳から、大型犬なら約5歳からとされています。年齢とともに消化機能や免疫力が低下するため、それらをサポートするフード選びが必要です。
選ぶポイントとしては、以下の点が挙げられます。
シニア犬は消化能力や代謝が低下するため、消化しやすく高品質なタンパク質・脂質を含むフードが適しています。
ミネラルは体に必要な栄養素ですが、シニア犬では吸収しきれずに逆に体に負担がかかることもあります。心臓や腎臓の負担を軽減するためにも控えめなものにしましょう。
関節の健康をサポートする成分(グルコサミン・コンドロイチンなど)や、免疫機能を維持する抗酸化物質(ビタミンE・Cなど)が強化されたフードも良いでしょう。
年齢とともに歯の状態も悪くなりやすいため、食べやすい硬さのフードを選ぶことも大切です。ドライフードが食べにくい場合は、ウェットフードやドライフードをふやかしたり、温めて与えてみましょう。
パッケージに「シニア用」「高齢犬用」と表記されている総合栄養食を選びましょう。
フードのパッケージに記載された原材料を確認することは、犬の健康を守るために非常に重要です。
以下のポイントに注意してフードを選びましょう。
ドッグフードの原材料は、含有量の多い順に記載されています。最初に書かれている原材料ほど、そのフードに多く含まれていることになります。
良質なドッグフードは、最初の原材料に「チキン」「ビーフ」「サーモン」などの具体的な肉や魚の名前が記載されていることが多いです。「肉類」「動物性タンパク質」などの曖昧な表現ではなく、具体的な原材料名が明記されているかを確認しましょう。
犬は主に肉を必要とする動物であるため、原材料の上位2番目までにタンパク質源が表記されているドッグフードが理想的です。
タンパク質はアミノ酸が集合したものです。犬の体にとって必要な必須アミノ酸をバランスよく含むものを「良質なタンパク質」と言います。
良質なタンパク源としては、「チキン」「ビーフ」「ラム肉」などの肉類、「サーモン」などの魚類が代表的です。また、「エンドウ豆」などの植物性タンパク質も組み合わせることで、様々な種類のアミノ酸をバランスよく摂取させることができます。
また、定期的にタンパク源を変える方法(フードローテーションと呼ばれます)も効果的です。例えば「チキン→ビーフ→サーモン」というように定期的に変えることで、栄養が偏るのを防いだり、特定の食材へのアレルギー発症リスクを減らしたりできます。これにより、犬の消化能力を養い、健康的な体づくりにつながります。
ドッグフードに含まれる添加物は、栄養素の補給や酸化防止など、総合栄養食としての品質を保つために一定量は必要なものです。すべての添加物が悪いわけではありませんが、特定の合成添加物には注意が必要です。
避けたい添加物には、以下のようなものがあります。
これらの添加物は長期間摂取すると、アレルギーや臓器への負担、場合によっては発がん性のリスクが指摘されています。できるだけ天然由来の保存料(ビタミンEやCなど)を使用したフードを選びましょう。
ドッグフードは種類を選ぶだけでなく、正しく与え、適切に管理することも犬の健康維持にとって重要です。適切な給餌量や回数と保存方法について解説します。
ドッグフードは犬の年齢によって適切な食事回数や量が異なります。必要な栄養やエネルギーをきちんと摂れるように、フードは数回に分けて与えることが大切です。
消化能力が未発達の子犬では1日3~5回。1度に多くの量を食べられる成犬では1日1〜2回。シニア犬では消化能力が低下し1度に食べられる量が限られているので1日2〜3回以上と調整が必要です。
給餌量はドッグフードのパッケージに記載されている推奨量を参考にしつつ、愛犬の体型や活動量、年齢、健康状態に合わせて調整しましょう。肥満気味の場合は推奨量より少なめに、痩せ気味や活動量が多い犬の場合は多めに与えるなど、犬に合わせた対応が必要です。
ドッグフードはどんな種類の物でも、酸化しやすい油脂や脂肪分を含んでいるので、保存方法に気を付けないとあっという間に傷んでしまいます。
最近いつものフードを食べなくなった、急に下痢や吐き戻しが見られるという時はフードの劣化が原因の可能性もあります。以下に、フードの種類別の保存方法を解説しますので、適した方法で保存しましょう。
ドライフードは比較的長持ちしますが、以下のような保存が必要です。
冷蔵庫での保存は結露の原因となりカビが発生する可能性があるため、常温の冷暗所がおすすめです。フードスクープは必ず乾いた状態で使用しましょう。
半生フードは水分含有量が比較的多いため、ドライフードより傷みやすい特徴があります。以下のように保存しましょう。
商品によっては小分けパックになっているものもあります。使う分だけ取り出し、残りは密閉して冷蔵保存しましょう。
ウェットフードは水分含有量が最も多く、開封後の傷みが早いタイプです。保存方法は以下の通りです。
一度で使い切れない場合は、小分けにして冷凍保存も可能ですが、解凍後の味や食感が落ちてしまうので注意しましょう。
ドッグフードは、色々な種類があって、どれが最適なのか迷ってしまいますよね。実は、「絶対的に最良」というドッグフードはありません。大切なのは、あなたの愛犬に合ったものを選ぶこと。年齢や体格、好みは犬それぞれ違うように、最適なフードも一頭一頭異なります。
まずは「総合栄養食」を基本に。ドライ、半生、ウェットの中から、愛犬の好みや食べやすさに合わせて選んでみましょう。
パッケージの裏面にある原材料表示もぜひチェックしてみてください。
愛犬との生活を楽しく健康に過ごすために、ぜひフード選びから始めてみませんか?愛犬が喜んで食べる姿を見るのは、飼い主さんの何よりの幸せですね。
監修:CUaRE 動物病院京都 四条堀川