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子猫を見つけたら|子猫を保護してからその後までを獣医師が解説

2024.07.09

こんにちは。
どうぶつ病院 京都 四条堀川 獣医師尾関康江です。

「子猫の鳴き声がするけれどどうやって保護したら良いのだろう?」
「動物病院ではどんな検査をしておけば大丈夫?」
「子猫を保護した後、お家ではどんな風にお世話すれば良いの?」
といった疑問を抱えておられないでしょうか?

今回は、子猫を見かけられ保護しようとされている飼い主さんに

  • 子猫を保護する時に注意したい点
  • 動物病院でしておいた方が良い検査
  • 自宅でのお世話

について解説したいと思います。
是非、最後までお読みいただき、子猫を家に迎えられる準備にお役立てください。

子猫を見つけたら

屋外で子猫を見つけたらまず、周囲に親猫や兄弟猫がいないか確認して下さい。途中で親猫とはぐれたり、建物の壁の間に落ちているだけで、親猫が近くにいる可能性があるためです。いきなり子猫を保護せず1~2日様子を伺った後保護しましょう。また、飼い主さんが探している可能性があるので、保護した後は警察や動物愛護センターに連絡を入れておきましょう。

動物病院での診察

外猫は元気そうな見た目であっても何らかの感染症にかかっている可能性があります。子猫の状態を把握するために自宅に連れて帰る前に動物病院を受診することをおすすめします。動物病院へは猫用のキャリーまたは上に蓋が閉まる段ボール箱に入れて連れていきましょう。子猫が弱っていたり、気温が低い場合はタオルケットや湯たんぽで温めながら連れて行ってあげると良いです。

身体検査

子猫の健康状態(目立った外傷、衰弱、先天疾患の有無)を確認し、おおよその月齢を判断します。子猫の月齢によっては性別も分かる場合があります。

寄生虫の有無

外猫はノミ・マダニ・耳ダニなどの寄生虫をもっていることが多く、駆虫剤を使用します。また便検査にてお腹の中にいる寄生虫の確認をします。

感染症の有無

外猫は特に猫免疫不全ウイルス(FIV)と猫白血病ウイルス(FeLV)感染症にかかっていることがあります。この2つの感染症は治る病気ではありません。子猫を保護した際には必ず検査をする必要があります。検査時期は保護して1ヶ月後、生後3ヶ月齢以降が推奨されます。

マイクロチップ

屋外で保護した子猫は首輪をしていなくても迷い猫の可能性もあります。動物病院にある読み取り機で念のためマイクロチップが入っていないか確認し、飼い主さんの有無を確認します。

その他

子猫が傷を負っていたり、衰弱している場合は治療が必要なことがあります。詳しくは診察時に獣医師とご相談下さい。

自宅でのお世話

自宅でのお世話の方法や気をつけるポイントを解説します。

食事

子猫の月齢によって食事内容は異なります。

まだ生後間もない月齢の場合、子猫は自分で食事を取れません。生後2週齢までは2〜3時間毎に、2〜4週齢までは4時間毎にミルクを与えます。授乳には子猫用の哺乳瓶、針のついていない注射器、スポイトを使用します。生後月齢によってミルクの授乳量は異なりますが、1日平均7〜13g増えているのが理想です。状態を把握するために毎日ミルクを飲ませた量、授乳時間、排泄の有無を記録しておくことをおすすめします。授乳の仕方など、詳細は診察時に獣医師までご相談下さい。

乳歯が生えてきて、自分で排泄を始めたらそろそろ離乳の時期です。始めは飲み食べしやすいやわらかい食事を与えます。一度に十分な食餌を食べられないことが多いので、1日4〜6回程度与えたり、後からミルクを飲ませたりして長時間空腹にならないよう注意をしましょう。

安定して離乳食が食べられるようになってきたらミルクを卒業できるようになります。歯が生えそろってきたらやわらかい食餌から水分量を減らし、ドライフードを与えるようにしましょう。また、新鮮なお水も常備し、いつでも飲めるようにしましょう。

排泄

子猫が生後間もない月齢の場合、排泄するには補助が必要です。授乳前後でやわらかいティッシュ、またはコットンでお尻を刺激してあげましょう。月齢が浅い頃は消化管が発達しておらず便が緩い場合が多いです。お尻が汚れてしまったらお湯で優しく洗ってあげましょう。もし、1週間以上便が出ない場合は動物病院を受診して下さい。

子猫は生後3週間前後から自力で排泄をできるようになります。寝床の端にトイレを設置してみましょう。

寝床

子猫の行動には制限をする必要があります。自由に動き回ると事故につながる可能性があるからです。また先住猫への感染のリスクがあるためです。子猫が部屋を動き回らないように段ボール箱やキャリーケースに入れてお世話をすることをおすすめします。子猫を保護してしばらくは隔離での管理をしましょう。

また子猫は生後1ヶ月位まで体温調整が上手くできません。お湯を入れたペットボトルやカイロをタオルで包んで置いてあげましょう。温めすぎは低温やけどの危険性があります。環境温度は生後1〜2週齢で32〜34℃、生後2〜4週齢は24〜27℃を目安に調整してあげましょう。万が一暑くなりすぎた場合、子猫が逃げられる工夫をしておいてあげることも大事です。

先住猫がいる場合の迎え方

先住猫がいる家庭では、子猫は必ずケージに入れるかお世話の部屋を分けるようにしましょう。目的は感染症の伝染を防ぐことと、先住猫が感じるストレスを軽減することです。

隔離期間に関しては様々な意見がありますが、理想は各種検査をクリアし1回目のワクチンを接種した後までが目安です。家庭によって生活環境は異なるので、随時獣医師とご相談下さい。

獣医師の許可がおりたら先住猫との対面です。いきなり子猫と合わせるとお互いに警戒し、その後の仲の良さにも影響を与える可能性があります。対面の時期は慎重に進めましょう。

先住猫と顔合わせをする時のステップについてです。

  1. 互いの姿が見えない状態で匂いや声を感じさせます。
    姿が見えなくても認識することで心の準備ができます。お互いの匂いがついた毛布やおもちゃを交換するのも良い方法です。
  2. 接触はできないものの姿が見える状態にします。
    互いにケージに入れた状態で対面します。威嚇したり怖がる様子があれば無理せず離しましょう。
  3. 攻撃的な様子がなさそうであればケージ越しに触れ合わせます。子猫はケージに入れ、先住猫は自由に行動できるようにします。
  4. 慣れてきたら見守りながら先住猫と子猫が、1日数回触れ合う時間を設けていきます。

まとめ

子猫を保護するということはその命を預かるということです。初めて猫を飼われる場合は、分からないことが多いです。月齢が浅い子猫の食事や排泄の世話は特にやることが多く大変でしょう。当院のスタッフもできる限りアドバイスやご相談にのりますので、どうか楽しみながら子猫の子育てをして頂けたらと思います。

どうぶつ病院 京都 四条堀川
獣医師 尾関康江