2024.12.10
目次
こんにちは。
CUaRE どうぶつ病院京都 四条堀川 獣医師 尾関康江です。
みなさん
「今度動物病院でワクチンをうつ予定だが、何か注意することはあるだろうか?」
「ワクチンアレルギーってどういう反応なの?」
といった疑問をお持ちではないでしょうか?
今回は、犬の飼い主様に
について解説します。
ぜひ、最後までお読みいただき、ワクチン接種時にお役立ていただければ幸いです。
一部、専門用語が含まれますのでご了承ください。
ワクチンアレルギーとはワクチン接種によって起こるアレルギー反応のことです。アレルギーとは、アレルゲンと呼ばれる特定の物質に対して、自分の免疫が過剰に反応することを指します。発生率は0.3〜0.6%と非常に低い確率ですが、命に関わる重篤な状態に至る可能性があります。ワクチンアレルギーは残念ながら、予測することができませんので、もしもの時のために症状や注意点を知っておきましょう。
ワクチンアレルギーは大きく即時型アレルギーと遅延型アレルギーの2種に分けられます。
即時型アレルギーとはワクチン接種直後〜10分以内に起こる反応です。アナフィラキシーショックと呼ばれる命に関わる全身性の反応で、早急な治療を必要とします。
代表的な症状は、以下のようなものがあります。
低血圧や低体温といった症状は、飼い主様が気づくことは難しいかもしれません。ワクチン接種後に、「ぐったりしている」「呼吸がおかしい」「吐いた」という症状が見られたら、なるべく早く動物病院を受診するようにしましょう。
遅延型アレルギーはワクチン接種後数時間で出る反応です。様々な症状が見られますが、兆候として多い症状は以下のようなものがあります。
ワクチンアレルギーが発症した時は、症状に合わせて治療を行います。迅速な対応が必要な緊急処置とそれ以外の時合に分けて解説します。
呼吸が苦しい場合は酸素を嗅がせたり、呼吸が弱い場合は気管にチューブを入れ体に十分な酸素が行き渡るようにします。
血圧を上げるための薬剤(アドレナリン)、過剰な免疫を抑えるためにステロイド剤、アレルギー反応を抑えるために抗ヒスタミン剤を使用します。その他、消化器症状などが認められる場合は症状に合わせて薬剤を使用します。
血圧が下がっていたり、脱水兆候が認められる場合は点滴を流して状態を改善させます。
一般状態が落ち着いている時は、アレルギーを抑える注射を打ち、症状が落ち着くまで内服を使用して様子を見ます。消化器症状が出ている場合は合わせて治療を行います。
ワクチン接種をする時と接種後自宅で注意したい事柄がいくつかあります。
今までにワクチン接種でアレルギー反応やアナフィラキシー症状が出たことがある場合は、次から接種をどうしたら良いか心配ですよね。対策としては、
といったことがあげられます。
抗体価検査とは体の中にどれくらい病気に対する抗体が残っているかを測定する検査です。重要な感染症に対する抵抗力を把握できます。
ご心配な場合は、その都度獣医師にご相談下さい。
前年度のワクチン接種で何もなくても、ワクチン接種の度に毎回、アレルギー反応が起こることはあります。副反応は命に関わる場合がありますので、症状や注意点を知って迅速な対応ができるようにしましょう。
CUaRE どうぶつ病院京都 四条堀川
獣医師 尾関康江