2023.04.18
症例紹介
こんにちは!
どうぶつ病院京都 四条堀川、獣医師の柏原です。
早速ですが、生後7ヶ月齢のトイプードルちゃんについて紹介させていただきます。
この子は、ゲージから飛び出ようとして脚が引っかかって、
ひどく鳴いて痛がっているとのことで来院されました。
まず、痛みのある場所や歩く様子を診察にて確認します。
今回は触られるのもすごく痛がる様子で、
レントゲン検査で右前足(橈骨・尺骨)2本の骨折がみつかりました。
右前肢 橈尺骨骨折
どうぶつ病院京都 四条堀川 では整形外科の先生と連携をとって、綿密な術前計画のもと手術を行っていきます。
今回は骨折部位と年齢から1.7mmスクリュー経のロッキングプレートという特殊なプレートにて骨の整復固定を実施しました。
術後のレントゲンがこちらです。
橈骨という骨にプレートをあて、骨折面をしっかり合わせていきます。
退院後の経過も順調です。1週間後の抜糸時にはしっかり着地して、歩いている(走り回っている)様子が確認できました。レントゲンでも問題なしです。
逆にこの子は元気すぎて両足使って走り回っているので、少し心配しています。。。
小型犬、特にトイプードルちゃんに多い橈尺骨骨折ですが、どれだけ注意していても些細なことで折れてしまいます。今回のこの子は
もし、脚を痛がる、脚を挙げるなどの気になる様子がありましたら、ご連絡いただけたらと思います。
ここから先は少しマニアックな内容なので興味ある方は見て下さい!
ロッキングプレートとはプレートのスクリューホールとスクリューのネジ山との間に、ネジの山と溝があり、プレートのスクリューホールからスクリューを刺入するとプレートとスクリューがロックされるプレートのことです。プレートとスクリューが一体になるため固定力が強くなります。
ロッキングプレートはプレートとスクリューを固定することによる、Angle stability(骨の角度安定性)によって固定するもので、これまでの古典的プレート固定がプレートをスクリューによって骨に押し付けることで固定していたのとは固定の理論が異なります。
骨折の治癒過程には形を戻す解剖学的整復と、骨折が治癒するための血液を送る生物学的治癒があり、どちらもとても重要です。ロッキングプレートは、従来のプレートのように骨とプレートを強度に圧迫する必要がないため、骨折部位の血流阻害が少ないため、より生物学的治癒に有利に働くように設計されています。そのため、ロッキングプレートを使用することで、術後の早期回復が期待できます。