2024.10.08
こんにちは。
どうぶつ病院 京都 四条堀川 獣医師 尾関康江です。
「自宅で飼い犬の耳をきれいにしたいけれどどうやったら良いのだろうか?」
といった疑問をお持ちではないでしょうか?
今回は、犬の飼い主さんに
について解説します。
ぜひ、最後までお読みいただき、愛犬の日常ケアにお役立ていただければ幸いです。
耳は聴覚や平衡感覚を司る大切な器官です。外側から耳介、耳孔、外耳道、鼓膜、中耳、内耳と呼ばれる場所で構成されています。人の外耳道は外側から頭に向けてほぼまっすぐです。犬の外耳道は耳の孔から垂直に伸びる道(垂直耳道)とそれが終わって横方向に伸びる道(水平耳道)で構成されていて、L字の構造になっています。
耳道は表皮、真皮、毛、皮脂腺、アポクリン汗腺(耳垢腺)といった皮膚と似たような構造をしています。
外耳道は音を集めると共に、音波の発生場所を特定する役割があります。
鼓膜に音が伝わると膜が振動し、その振動が中耳・内耳に伝わり音を認識します。
中耳は耳を守り、空気の入れ替え、圧の調整を行う役割があります。耳管と呼ばれる管で鼻とつながっています。
内耳は神経が豊富に走っていて、聴覚や平衡感覚を担っています。
耳垢は耳道に存在する分泌腺と角化物がまざりあったものです。耳には自浄作用が備わっていて、鼓膜に近いところで作られた耳垢は耳介に向かってゆっくりと進み、最終的に外に排泄されます。耳垢があること自体は特に大きな問題ではありません。
正常な耳には自浄作用があるため、耳垢は自然に外に出ます。トラブルのない耳に対しては積極的な耳洗浄は必要ありません。耳洗浄によって皮脂を取り過ぎてしまったり、綿棒で奥に押し込んでしまう可能性があるためです。
耳洗浄が必要なケースは主に
が挙げられます。
自宅での主な耳掃除のやり方は以下の通りです。
耳洗浄の頻度は獣医師に相談の上、実施しましょう。
耳垢を奥に押し込んでしまったり、鼓膜を傷つける可能性があるためです。
洗浄液は犬の体質によって合わない場合があります。皮膚病があったり、肌が弱い犬は事前に獣医師と相談してから使用するようにしましょう。また、鼓膜を損傷している場合は使えない洗浄液もあります。
耳は皮膚と同様な構造をしているため、外的刺激に影響を受けやすいです。耳の中に入れた洗浄液は優しく拭き取るようにしましょう。
耳に炎症がある状態だと耳道が狭くなっていたり、腫れていたりします。犬が嫌がる場合は、無理をせず動物病院で実施してもらうようにしましょう。
耳洗浄は必ず必要なものではなく、優しく拭き取るだけで十分です。耳洗浄を短時間で行い、終わったら沢山褒めてあげてください。
耳の奥は見えづらい部分です。耳の汚れがひどい時、飼い犬が耳洗浄を嫌がる場合は一度動物病院にて診てもらうようにしましょう。
どうぶつ病院 京都 四条堀川
獣医師 尾関康江