2024.10.15
こんにちは。
どうぶつ病院 京都 四条堀川 獣医師の尾関康江です。
「飼い猫の耳がいつもより腫れているけれど原因はなんだろう?」
「飼い犬が耳血腫で治療しているが、どういった病気だろうか?」
といった疑問をお持ちではないでしょうか?
今回は、犬猫の飼い主さんに
について解説します。
耳が腫れて違和感や痛みを伴う耳血腫。そんな犬・猫の耳血腫について少しでも知っていただければ幸いです。
耳血腫とは耳介(耳たぶ)の軟骨内に血液や漿液が溜まり、腫れる病気のことです。耳介の中の血管が何らかの原因によって破裂し出血することで生じます。
一般的には耳介に強い衝撃が起こることで生じるとされています。
といった行動がある場合に発症しやすいとされています。
耳血腫の主な症状は耳が腫れることです。腫れる前に頭を振ったり、耳を掻いたりする仕草が認められますが、犬・猫の自然な行為でもあるため耳血腫を事前に見つけることは難しいとされています。
症状が進行すると、耳がさらに膨らんだ状態になり、貯留液の重みで耳が垂れ気味になります。「痛み」「痒み」の影響で、耳を触られることを嫌がったり、耳が熱感をもったりするようになります。
耳血腫になることでの命の危険性は低いですが。治療をせずに放置すると耳はちぢれて変形し、硬くなっていき、ます。再発をする可能性や外耳炎を悪化させるリスクがあります。
耳血腫の原因で多いのが外耳炎です。
外耳炎は主に、細菌、真菌、耳ダニなどの感染、アレルギーによる炎症、腫瘍、異物が原因で起こります。外耳炎には痒みを伴う事が多く、耳を振る、耳を引っ掻くといった刺激を耳介に与えます。
転んだりぶつかったりすることで耳介の軟骨が損傷を受け、出血して腫れることがあります。犬の場合は散歩中にトゲなどがささってできた外傷、猫の場合は外を行き来する時に外でできた傷がきっかけとなって発症します。多頭飼育の場合、犬・猫同士の喧嘩も発症の原因となります。
外耳炎が悪化した場合、鼓膜の奥にある中耳、中耳の先にある内耳で炎症が起こることがあります(中耳炎、内耳炎)。炎症が奥まで広がると耳血腫だけでなく、脳、聴覚、視覚といったところまで影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。
自己免疫性疾患や血液凝固異業がある場合も耳血腫を発症すると報告されています。明確な原因は分かっていませんが、血小板に問題がある場合、起こりやすいとされています。
耳血腫は次の様な犬種や条件でなりやすいとされています。
体の大きい犬ほど耳介も大きく、頭を振った時の衝撃が強く伝わりやすいことから耳血腫になりやすいとされています。
垂れ耳の場合、空気がこもりやすく細菌が繁殖しやすい環境にあります。犬の場合は、ビーグル、ラブラドールレトリバー、ゴールデンレトリーバー、コッカースパニエルで発症しやすいとされています。猫の場合は、折れ耳のスコティッシュフォールド、カールしているアメリカンカールでよく見られます。
夏は特に暑くて、耳の中が蒸れやすいことから耳血腫の発症が多い傾向にあります。
5歳以上の犬・猫に発症しやすいと言われています。
一般的な治療法としては、膨らんだ耳介に針を刺し貯留した液体を吸引します。その後、猫インターフェロン製剤またはステロイド製剤を注入します。耳介内で起きている炎症を鎮める目的で使用されます。液体の吸引は何度かする必要があり、耳のトラブル(外耳炎、中耳炎)がある時はその治療も行います。
内科療法では治療が困難な場合に選択されます。
場合です。
膨らんだ耳を切開をして液体を吸引し、縫い合わせて耳介が膨らまないようにします。麻酔のリスクは伴いますが、再発のリスクが下がるメリットがあります。
耳血腫の明確な予防法は残念ながらありません。
といったことが予防につながります。
耳血腫は外耳炎が原因となることが多いです。日頃から小まめに飼い犬・飼い猫の耳の状態を気にかけてあげましょう。
どうぶつ病院 京都 四条堀川
獣医師 尾関康江