ヒトの難病である「特発性大腿骨頭壊死症」に類似した疾患です。大腿骨頭や骨頸に非炎症性無菌性壊死が起こることで、股関節が変形し、疼痛を示すようになります。小型犬(10kg未満)の罹患率が高く、3-13ヶ月齢(特に5-8ヶ月)で好発します。ほとんどは片側性ですが、10-17%は両側性に発症します。原因はまだ解明されておらず、ホルモンの影響、遺伝的素因などが提唱されています。
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跛行(足を引きずる)、股関節の伸展痛、股関節の可動域の減少、筋萎縮、股関節周囲の過敏症、股関節の捻髪音、食欲減退、股関節周囲の皮膚を咬むなどです。症状の多くは関節が変形することで発現するため、初期の頃は症状がわかりにくいことがあります。
治療法は主に、内科療法、外科療法(大腿骨頭骨頸切除術、人工股関節全置換術)があり、股関節の状態、患者の状態、ご家族の意向などを総合的に判断して決定していきます。内科療法で改善することは稀なため、ほとんどの場合で外科療法が必要になります。
症状があまりなく、関節の変形がひどくない場合は、内科療法を行うことがあります。内科療法としては、鎮痛剤の投与、運動制限、関節のサプリメントの投与などです。
FHOの目的は、関節の機能の回復ではなく、痛みの除去です。FHOは大腿骨頭と骨頸部を切除し、股関節をなくすことで痛みを除去します。股関節がなくなるため、正常な股関節と比較して60-70%の機能になってしまいます。しかし、FHOを行ったとしても、足が痛い、ずっと引きずっている、そのため日常生活に困るということは、ほとんどありません。FHOを行った患者のご家族の96%は歩様に満足しているという報告があります。
股関節を除去し、金属やポリエチレン製の人工関節に置換することで、疼痛や関節の機能を改善する手術です。正常な股関節と比較して90%以上の機能回復が認められます。
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