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犬の乳頭腫について|原因と治療法を獣医師が解説

2025.03.04

こんにちは。

「愛犬にぽつっとできものを見つけたけれど、なんだろうか?」
「トリミングで〝できものがありますね〟と言われたけれど、様子を見ても大丈夫?」
「年齢と共にできものが大きくなっている気がする」
といった不安をおもちではないでしょうか?
愛犬の体を撫でているときにたまたま見つけられることもあるのではないでしょうか。

今回は、犬の飼い主様に

  • 乳頭腫とは
  • 症状はどんなものか
  • 治療方法

について解説します。

ぜひ、最後までお読みいただき、犬のいぼについて知って頂ければ幸いです。

犬の乳頭腫とは

乳頭腫(にゅうとうしゅ)は、獣医療で「パピローマ」とも呼ばれ、犬の皮膚や粘膜にできる良性の腫瘍です。見た目は人間でいう「いぼ」に似ていることから、飼い主様から「いぼができた」と相談を受けることも多い症状です。

乳頭腫は基本的に良性の腫瘍で、多くの場合は自然に治癒していきます。しかし、中には悪性腫瘍との見分けが必要なケースもあるため、早めの受診が大切です。

症状と特徴

犬の乳頭腫は口の周り、足先、背中に多く見られますが、体のどこにでも発生します。単発の場合もあれば、複数個できることもありますので、1つ見つけたら他にもないか体を触って調べておきましょう。色は白色やピンク色をしていることが多いです。腫瘍の多くは表面がざらつきカリフラワーのような形をしています。

発症の原因

犬の乳頭腫は2つのタイプに分かれます。

若齢の場合

若齢の場合、主な原因はパピローマウイルスです。ウイルスは皮膚表面にある傷口から侵入し、細胞を活性化させます。ウイルスの増殖によって皮膚が盛り上がり、イボの形となります。感染してからイボができるまで1〜2ヶ月ほどと言われています。多くは自然退縮します。

高齢の場合

シニア犬の場合はウイルスが関与しないことが多く、加齢や免疫低下、慢性刺激などが要因となっています。非ウイルス性のため犬同士での感染の可能性は低いようです。
高齢の場合は、自然退縮しないことが多いです。

注意が必要な症状

乳頭腫は基本的に良性で、1〜2ヶ月程で自然退縮しますが、悪性化すると扁平上皮癌を発症するケースもあるため、注意が必要です。
また、自宅で犬にできものを見つけた際に、「大丈夫だろう」と自己判断すると、悪性腫瘍を見逃す危険性があります。以下のような特徴が見られた場合は早めに動物病院を受診しましょう。

急激な大きさの変化

短期間で大きくなる場合は悪性腫瘍の可能性があります。 

形の変化

表面が壊死したり、出血する場合は注意が必要です。

色の変化

黒や紫、赤黒い色に変化する場合は悪性の可能性があります。

治療

乳頭腫は1~2ヶ月で自然治癒しますので、通常は動物病院で治療を行うことはありません。しかし、以下のような場合は、犬の生活の質を下げる可能性があることから治療を検討します。

  • 口の中や周りにできてご飯が食べづらい
  • 足先や足裏にできて歩行が困難な
  • 頻繁に掻いたり舐めたりして炎症や出血を起こしている
  • 持病のために治りが遅い

治療としては、電気メスやレーザーを用いてできものを外科的に切除します。当院では、レーザーによる焼烙治療にも対応しております。

治療後の予後は良好で、多くの場合は再発の心配も少ないです。

日常ケアと予防

乳頭腫はウイルスに感染することで発症することから、明確な予防法はありません。毎日全身を触って身体にできものやしこりが出来ていないかチェックする事がとても大事ですね。
古くから漢方薬として使用されているハトムギエキスであるヨクイニンは抗菌作用があると期待されています。

まとめ

体にできものは、いつしか自然に退縮するものもあれば、大きくなってやがて体に悪影響を及ぼすものもあります。悪性の場合はできるだけ早めに発見し、適切な処置を行うことが大事です。
普段から、愛犬の体をよく観察し、できもの大小にかかわらず発見したらまずは動物病院を受診することをおすすめします。
気になる点は何なりと当院までご相談ください。

監修:CUaRE 動物病院京都 四条堀川