2025.03.25
目次
皆さんは病院で、レントゲン検査を受けたことはありますか?
動物病院で、獣医師から「レントゲン検査が必要です」と言われた際、
といった疑問をもたれたことはなかったでしょうか。
当院では、ペットの健康を守るため、安全かつ効果的なレントゲン検査を行っています。
今回は、犬猫の飼い主様に
について解説します。
ぜひ、最後までお読みいただき、レントゲン検査について知って頂けたら幸いです。
レントゲン検査は、X線(エックス線)という目に見えない電磁波を使って、体の内部を画像化する検査方法です。
X線を体の外から照射させると、組織の密度によって体を通過して出てくるものと、体に吸収されるものがあります。
骨や金属は、X線をほとんど通さないので、画像上は白く写ります。反対に空気はX線をほとんど全て通すので、画像上は黒く写ります。筋肉や内臓など空気を含んだ組織は、X線をある程度通すので、灰色に写ります。
この性質を利用して、体の内部構造を二次元の画像として記録します。例えば、胸部レントゲンでは肺(空気を含むため黒く)や骨(白く)がはっきりと区別できます。
レントゲンは体の一方向からの撮影になるため、体の構造が重なって映ります。これに対し、CTスキャンは360度さまざまな角度からX線を照射し、コンピュータ処理によって断層画像を作成します。画像を3次元的に解析できるので、病変の位置がレントゲン検査よりも詳細に分かるのが特徴です。
MRIは磁気を利用した検査で、X線を使用せず、より詳細な軟部組織の画像を得ることができます。レントゲンやCTでは検査が難しい脳や脊髄など、神経系の病気・異常の有無の描出が得意なのが特徴です。
CT検査とMRI検査は犬猫が怖がったり暴れたりしないように、麻酔をしてから検査を行うのが一般的です。また、レントゲン検査に比べると高額になります。
レントゲンはどのような時に撮影されるのでしょうか。
遭遇しやすい場面としては、
が挙げられます。
レントゲン検査は、犬や猫の体の内部を非侵襲的に観察できる重要な検査方法です。様々な症状や病気の診断に役立ちますが、特にどのようなことが分かるのか解説します。
四肢の痛みや歩き方に違和感がある場合や、歯周病などで歯科処置をする場合にレントゲン撮影を行います。
画像からは主に以下のようなことが分かります。
歩行の異常は、骨や筋肉の異常からおこる整形疾患や、脳や脊髄神経の異常からおこる神経疾患によっておこることが多く、レントゲン検査では四肢や脊椎に着目することが多いです。
歯科処置時でのレントゲン検査では、歯の状態、抜歯の必要性を確認するために撮影されます。
胸部レントゲンでは、呼吸器系や循環器系の問題を調べることができます。具体的に以下のようなことが分かります。
呼吸困難や咳が続く場合は、早急に動物病院を受診しましょう。胸水貯留や肺炎は緊急処置が必要な場合があるためです。
(胸部レントゲン 右ラテラル像 横向き)
(胸部レントゲン VD像 仰向け)
何か誤食した可能性がある場合、嘔吐がある場合、排尿困難がある場合などで腹部レントゲン撮影を行います。
胃や腸の中に食物があると正確な検査を行いづらいため、緊急時以外では、絶食の状態での撮影が望ましいので覚えておいて下さい。
画像からは、以下のようなことが分かります。
異物の有無については、誤食物の種類によってレントゲンで写りづらいものが存在します。例えば、マスク、イヤホンジャックやチュールの外側などのプラスチック、ゴム製品などです。反対に金属、石、骨はしっかりと写ります。
妊娠確認については、胎児の成長期によりレントゲンでは分からない場合もあります。その場合は、超音波で先に確認します。
(腹部レントゲン 右ラテラル像 横向け)
(腹部レントゲン VD像 仰向け)
犬や猫のレントゲン検査について、「放射線を使うから危険では?」「何度も撮影して大丈夫?」というお声を飼い主様から頂くことが多いです。
レントゲン検査で使用されるX線は、放射線の1種で、大量に浴びると数年後に体に影響が出るとされています。獣医療で使用されるレントゲン装置からの放射線量は非常に少なく、健康被害が出るレベルではありません。
具体的には、人が1回の胸部レントゲン撮影で0.1mSv以下の放射線を浴びているといわれています。犬猫の体格により個体差はありますが、人と比べ同程量ないし、より少ない放射線量となります。
1回の放射線量が200mSvを越えなければ、体への影響はないとされていることから、X線検査での被ばくの心配はほとんどないと考えられています。
病気の経過観察や複数箇所の検査で、複数回のレントゲン撮影が必要になることもあります。例えば、骨折の治癒過程や心臓疾患の経過観察などでは、定期的なレントゲン検査が重要です。
当院では、必要最小限の撮影範囲と回数で診断情報を得られるよう配慮しております。現代の獣医療機器は放射線量を最小限に抑える技術が進歩しており、繰り返しの検査でも安全性は確保されています。
検査の必要性や頻度についてご心配なことがありましたら、お気軽に獣医師にご相談ください。
自分の犬猫がどのようにレントゲン検査を受けているか不安な方もいらっしゃるかと思います。症状や目的により撮影部位が変わりますが、一般的によく撮影される胸とお腹のレントゲン検査方法について説明します。
基本的には胸部と腹部を分けて撮影します。
体の右側を下にしたもの(ラテラル)、仰向け(VD像)もしくはうつ伏せ(DV像)と、基本的には同じ部位でも2〜3枚の撮影が必要になります。
(体の右側を下にしたラテラル像を撮影している場面で、撮影された画像は以下のようなものになります。)
骨のレントゲン検査の場合は、症状が出ている肢と正常な肢の両方を撮影し、比較することで診断に役立ちます。
当院では、痛みが強い場合や興奮しやすい子の場合は、飼い主さんとご相談した上で鎮静をかけるケースもあります。詳しくは獣医師とご相談下さい。
犬猫のレントゲン検査は、健康診断や術前検査など実施される機会の多い検査の1つです。低侵襲かつ短時間で行える検査で、多くの情報を得られる有用な診断ツールです。
ご家族が検査風景を直接見ることができないため、初めての場合はどのように検査をするのか不安も大きいと思います。ご不明点や不安点がございましたら、お気軽にスタッフにご相談下さい。
監修:CUaRE 動物病院京都 四条堀川