2025.08.12
目次
「手術が無事に終わってホッとしたけれど、これからどう過ごせばいいの?」
「愛犬の様子がいつもと違って心配…」
そんな気持ちを抱えている飼い主さんへ。
今回は犬の飼い主様に、
について解説します。
ぜひ、最後までお読みいただき、手術後の愛犬と安心して過ごせるようお役立て下さい。
手術後から回復するまでの様子を日ごとに沿って解説します。
手術当日の犬は、麻酔の影響でぼんやりしていることが多く、いつもより眠っている時間が長くなります。また、食欲がなかったり、少ししか食べなかったりするのも自然な反応です。
飼い主さんにできることは、まず静かな環境を作ってあげること。普段より少し暗めの、静かな場所で休ませてあげてください。いつものクッションやタオルがあると愛犬も安心します。
食欲がなくても、無理に食べさせる必要はありません。水分が取れていれば心配ありません。少量ずつ、普段のフードを柔らかくしてあげると食べやすくなります。
この時期になると、犬の食欲が7~8割程度まで回復し、散歩に行きたがる素振りを見せるようになります。傷口が気になって舐めようとしたり、後肢で掻く行動も見られるようになります。
ここで大切なのは、「元気になった」という錯覚です。表面的には元気そうに見えても、体の中はまだ回復途中。普段の3割程度の活動量に抑えてあげてください。
エリザベスカラーを嫌がるかもしれませんが、まだ治癒途中なのでできる限り着衣が望ましいです。食事の時だけ外す場合も、必ず見守りながら食べさせてあげましょう。どうしても嫌がる場合は、術後服などを検討しましょう。
短時間のお散歩は問題ありません。小型犬なら5~10分程度、大型犬なら10~15分程度のゆっくり歩きから始めてください。ただし、他のワンちゃんとの遊びや走り回ること(ドッグランなど)は控えてあげてください。
手術後4日目から1週間になると、犬の食欲がほぼ普通に戻り、活発になってきます。一方で、傷口のかゆみが出ることもあります
。
この時期に最も注意したいのが動きすぎです。「元気になったから大丈夫」と思ってしまいがちですが、まだまだ安静が必要な時期です。
特に避けたい行動は、ソファやベッドへのジャンプ、他のワンちゃんとの激しい遊び、ボール遊び、水遊びです。これらの活動は傷口に負担をかけてしまう可能性があります。
傷口のチェックも大切です。毎日観察してあげてください。少し赤みがあるのは正常な治癒過程ですが、腫れたり必要異常に気にする場合は動物病院を受診しましょう。
エリザベスカラーの装着期間は、基本的に小型犬で7~10日間、中・大型犬で10~14日間です。抜糸が終わっても、傷口を舐める癖がある子は数日間延長することがあります。
エリザベスカラーは犬にとって負担がかかるもの。なるべく負担がかからないような設計をされている材質に変更するのもおすすめです。ドーナツ型になっているもの、ボタンがついていないもの、布やスポンジ製のものなどが挙げられます。
ただし、一般的なエリザベスカラーに比べて強度が弱く、柔らかいものだと犬の口が患部に届く場合があります。
エリザベスウェアとは患部を含めて体全体を保護する洋服に相当します。エリザベスカラーに比べて、口や首周りの圧迫がなく、普段通りに近い生活を送ることができます。
ただ、長毛種の犬では毛がもつれやすくなったり、皮膚トラブルを抱えている犬では症状が悪化する場合があるため、心配な場合は事前に獣医師に相談しましょう。
一時的にカラーを外しても大丈夫なタイミングは、食事中や水を飲む時、そして首回りを清拭する時です。外している間は、必ず犬の様子を見守ってあげてください。
逆に、絶対に外してはいけないのは就寝時、お留守番時、そして傷口を気にしている時です。
軽く舐めた程度なら、清潔なガーゼやハンカチで優しく拭いて、エリザベスカラーをしっかり装着し直してください。
しつこく舐め続けた場合、傷口に赤みや腫れがないかチェックして、心配であれば翌日動物病院を受診してください。
手術後2-3日は麻酔や手術の影響で、元気がないのは当然です。水分が取れていれば大丈夫ですが、水を全く飲まない(12時間以上)、ぐったりして動かない、体を触ると痛がって鳴く場合は早めの受診をおすすめします。
段階的に戻していきます
手術後の食欲不振は一時的なもので、基本的には2-3日で徐々に戻ってきます。フードを温めたり、少量頻回で給餌したり、ウェットフードを活用してみましょう。2日経っても食べない場合は獣医師に相談しましょう。
手術後1ヶ月頃から、ホルモンの影響で愛犬が太りやすくなってきます。この時期から食事量を少し減らすか、体重管理用フードへの切り替えを検討しましょう。急に減量するのではなく、犬の様子を見ながら徐々に調整してあげてください。
手術後犬が、より穏やかになったり、攻撃性が減ったり、マーキングが減ったりといった変化が見られることがあります。これらは手術の効果として期待される変化ですので、安心してください。
手術後、全ての犬が同じようではありませんし、退院直後から全快の犬もいれば、ストレスでお腹を壊す犬もいます。
数日も経てば安静にするのが難しいくらいに回復します。 手術後の犬との接し方は、怖い事ばかりではありません。 少しでもご不安なことがあれば、当院までご相談下さい。
監修:CUaRE 動物病院京都 四条堀川