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犬の薬の飲ませ方|嫌がる愛犬でも成功する投薬のコツを獣医師が解説

2025.09.16

「薬を口に入れた瞬間、ペッと吐き出される」

「隠して与えても薬だけ残される」

こんな経験をされた飼い主様は多いのではないでしょうか?

口を開けてすんなり飲んでくれれば一番いいのですが、なかなか困難ですよね。

今回は、投薬のコツを、段階的に解説します。

なぜ愛犬は薬を嫌がるのか?理由を知れば対策が見える

犬の本能的な反応

犬が薬を嫌がるのは、わがままではありません。犬の嗅覚は人間の1000倍以上といわれており、私たちが感じる薬の匂いや苦味は、犬にとって相当強烈です。特に抗生物質や消炎剤などの薬は、犬が本能的に避けたがる苦味成分を含んでいます。

過去の経験がトラウマになることも

一度でも「薬=嫌なもの」という印象が付いてしまうと、薬を見ただけで警戒するようになります。また、無理やり押さえつけられて投薬された経験があると、飼い主様への信頼関係にも影響することがあります。

飼い主様の緊張も伝わります

「絶対に飲ませなければ」という飼い主様の緊張や焦りは敏感な犬にダイレクトに伝わります。まずは飼い主様ご自身がリラックスすることが、成功への第一歩です。

【初級編】まずはこちらから!

ステップ1:犬の好物を見つける

投薬の成功率を大きく左右するのが「何に薬を隠すか」です。以下のような食材がおすすめです。

  • チーズ
  • 缶詰のウェットフード
  • ささみ
  • バナナ

薬の匂いをマスクして、苦味を和らげてくれるものがおすすめです。また、普段与えていない特別感もポイントです。

投薬専用おやつもおすすめです。最近では、種類が多数あり、中心に穴が開いていて薬を入れやすいものや、ペースト状で粉薬を包みやすいものなどがあります。

アレルギー疾患や基礎疾患がある場合は、事前に獣医師に確認しておきましょう。また、薬によっては食べ物と一緒に与えると効果が変わることがあるため、こちらも確認が必要です。

ステップ2:「だまし」のテクニック

薬入りの食べ物を与える前に、薬の入っていない同じ食べ物を2〜3個与えます。犬が「美味しい!もっと欲しい!」と思った状態で薬入りを与えると、そのまま食べてくれる確率が格段に上がります。

ステップ3:投薬後は大いに褒める

薬を飲んだ後は、「すごいね!えらいね!」と大げさなくらい褒めてあげましょう。おやつや遊びでご褒美を与えることで、「薬を飲む=良いことが起こる」という印象を植え付けられます。

【中級編】食べ物作戦が効かない場合

食べ物に隠す方法が効かない場合は、直接投薬に挑戦してみましょう。ただし、無理は禁物です。

  1. 体勢を整える:小型犬は膝の上、中型犬以上は壁際に座らせます
  2. 上顎を優しく保持:親指と人差し指で上顎の両側を持ち、軽く上を向かせます
  3. 薬を喉の奥に:舌の付け根付近に薬を落とします
  4. 口を閉じて待つ:すぐに口を閉じ、喉を優しく撫でたり、鼻先に息を吹きかけ飲み込みを促します

液体薬の場合は、シリンジ(針のない注射器)を使用します。

  1. 口角(唇の端)からシリンジを入れる
  2. 上顎に流すイメージで投薬する
  3. 一度に大量を入れず、2〜3回に分けて与える

注意点:誤嚥を防ぐため、犬の頭を上に向けすぎないよう注意してください。

【上級編】投薬補助グッズを活用

直接投薬が難しい場合は、ピルガン(投薬器)の使用をおすすめします。ポイントは以下の通りです。

  • 薬なしでまずは練習する
  • 先端を少し水で湿らせておく
  • 投薬後すぐに水やおやつを用意しておく

投薬を成功させる心構え

失敗しても大丈夫

投薬は一度で成功しないことも多いものです。失敗を恐れず、「今日だめでも明日がある」という気持ちで取り組みましょう。犬も飼い主さんの不安を敏感に察知するため、リラックスした状態で臨むことが大切です。

投薬タイミングを工夫する

薬の種類にもよりますが、空腹時やリラックスしている時が投薬をしやすいタイミングです。

こんな時は無理をしないで

以下のような場合は、無理に投薬せず、すぐに獣医師にご相談ください。

  • 強い嘔吐や下痢がある
  • 薬を飲んだ後に異常な症状が現れた
  • 何度試しても全く薬を受け付けない
  • 犬が極度にストレスを感じている様子

当院では、投薬でお困りの飼い主様への個別指導や、院内での投薬サポートも行っております。お気軽にご相談ください。

まとめ

犬の投薬は頭を悩ます問題ですよね。犬の投薬のコツを知っておくと役立つ可能性があります。ぜひ、ポイントを活用して、投薬のストレスの軽減につなげましょう。

無理な投薬で愛犬と飼い主様のストレスが増えないよう、何か当院がサポートできることがあれば、お気軽にご相談下さい。

監修:CUaRE 動物病院京都 四条堀川