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犬の病院受診はいつ行くべき?獣医師が教える「迷ったときの判断基準」

2026.02.17

愛犬の体調がいつもと違うとき、
「今すぐ病院に行くべき?」
「もう少し様子を見ても大丈夫?」

そんな不安を感じたことはありませんか。

夜に吐いたけれど朝は元気そう、
散歩には行くけれど歩くのがいつもより遅い。

犬の体調変化は微妙なことが多く、判断に迷う場面は日常的に起こります。

この記事では、

  • すぐに病院を受診すべき緊急症状
  • 判断に迷ったときの考え方と対処法

について、解説します。

まず確認|こんな症状は「すぐ病院へ」

以下の症状が見られたら、迷わずすぐに動物病院へ連絡してください。

  • 口を開けてハアハアと苦しそうな呼吸が続く
  • 痙攣が止まらない、短時間に何度も繰り返す
  • お腹が急に膨らんだ
  • ぐったりして呼びかけに反応しない
  • 人の食べ物や薬を誤って食べた

↓ 当てはまらない場合は、以下を読み進めてください。

なぜ犬の体調変化を見逃してはいけないのか

犬は言葉で「お腹が痛い」「息が苦しい」と伝えることができません。
さらに本能的に、弱っている様子を隠そうとする習性があります。

飼い主様が「少し元気がないかな」と感じたときには、
すでに症状がかなり進んでいることもあります。

早期に発見できれば飲み薬で済む病気でも、
発見が遅れると入院や手術が必要になることも少なくありません。

すぐに病院を受診すべき緊急症状

呼吸の異常

呼吸が苦しそうな状態は、命に直結する緊急サインです(1)(2)。

すぐ受診が必要な状態

  • 口を開けてハアハアと苦しそうに呼吸している
  • 舌や歯ぐきが紫色や青白い
  • 首を伸ばし、肘を外側に開いた姿勢で座っている

一刻も早く酸素吸入などの緊急処置が必要になります(3)。

意識の低下・痙攣

呼びかけに反応しない、ぐったりしている場合は、
脳や心臓、代謝の異常などが起きている可能性があります。

すぐ受診が必要な状態

  • 呼びかけに反応しない、ぐったりして動けない
  • 全身が硬直したり、ガクガクと震え続けたりする痙攣が続く
  • 短時間に何度も痙攣を繰り返す

痙攣が続くと、脳に元に戻らないダメージが残る可能性があります(6)(7)。

※発作中は無理に口を触らず、周囲の物をどかして安全を確保してください。
可能であれば、発作の様子を動画で撮影したり、時間や状況をメモしておくと診察時に役立ちます。

お腹の異常な張り

お腹が風船のように急に膨らみ、
吐きたそうにしているのに何も出てこない場合は、
胃拡張捻転症候群(GDV)という緊急疾患の可能性があります(8)(9)。

すぐ受診が必要な状態

  • お腹が急に大きく膨らんだ
  • 吐きたそうにしているが何も出てこない
  • 落ち着きがなく、苦しそうに歩き回る

GDVは時間が経つほど命の危険が高まります(10)。特に大型犬や胸の深い犬種で起こりやすく、緊急手術が必要です。食後すぐの激しい運動を避けることが予防につながります(11)。

誤食・中毒

人の食べ物、薬、植物などを誤って食べた場合、中毒症状を起こす可能性があります。

すぐ受診が必要な状態

  • 何かを食べた直後から様子がおかしい
  • 嘔吐、下痢、よだれが止まらない
  • ふらつき、震え、痙攣などの神経症状がある

中毒では、食べてからの時間が非常に重要です(12)。すぐに動物病院に連絡し、「何を」「どのくらい」「いつ食べたか」を伝えてください(13)。

様子見で大丈夫?迷った時の判断基準

単独では緊急性が低く見える症状でも、

  • 複数の症状が重なっている
  • 半日以上続いている続いている

場合は、早めの受診がすすめられます(14)。
以下の症状が半日以上続く場合は注意してください

  • 何となく、元気や食欲が落ちている
  • 水を飲む量や尿の回数がいつもと違う
  • 嘔吐や下痢がある
  • ふらついて歩いている

高齢犬、子犬、持病のある犬では、軽い症状でも早めの受診をおすすめします。

よくある質問:こんな時はどうする?

Q1. 夜に吐いたけど、朝は元気。病院行くべき?

△ まず電話で相談を

朝に元気があり、食欲もある場合は一時的な胃腸不調の可能性があります。
ただし以下を確認してください。

  • 吐いたのは1回だけか
  • 吐いた物に血が混じっていなかったか
  • その後、水を飲んでも吐かないか

翌日、午前中にまた吐いた、食欲が落ちた、ぐったりしてきた場合は受診してください。

Q2. 食欲はあるけど、元気がいつもよりない

△ 半日〜1日様子を見て、改善しなければ受診

食欲があるのは良い兆候ですが、「元気がない」のは体調不良のサインです。

他の症状が出てきた場合は早めに受診しましょう。

Q3. 散歩は行くけど、歩くのが少し遅い

△ 数日様子を見て、悪化すれば受診

加齢や疲れの可能性もありますが、関節の痛みや心臓病の初期症状のこともあります。

Q4. 1日うんちが出ていないけど大丈夫?

✓ 2日目まで様子を見てOK(元気があれば)

ただし、2日以上出ない・お腹が張る・嘔吐がある場合は受診してください。

Q5. 人の食べ物を食べてしまったけど、今は元気で吐く様子もない

◯ 何を食べたか確認し、すぐ電話相談を

元気でも油断は禁物です。
数時間〜半日後に症状が出ることがあります。

特に危険な食べ物

  • チョコレート、ぶどう、レーズン
  • ネギ類(玉ねぎ、長ネギ、ニラ)
  • キシリトール入りのガムやお菓子
  • 人用の薬
  • たばこ

判断に迷う場合は、まず電話でご相談下さい。
迷った時点で、相談していただいて大丈夫です。
お電話の際は、以下をお伝えいただけると診察がスムーズです。

  • 症状が始まった時間と経過
  • 現在の様子(元気、食欲、呼吸など)
  • 誤食の可能性
  • 年齢、体重、持病や服用中の薬

まとめ

犬の受診タイミングは難しく、迷うのは当然です。
しかし、

  • 呼吸が苦しそう
  • 意識がはっきりしない
  • 痙攣が続く
  • お腹が急に膨らむ
  • 誤食の可能性がある

これらが見られた場合は、ためらわずにすぐ受診してください。

判断に迷う場合は、
CUaREどうぶつ病院京都 四条堀川までお電話でご相談ください。

監修
CUaREどうぶつ病院京都 四条堀川
獣医師 吉田昌平

引用文献
(1) Thomovsky E, Ilie L. Basic triage in dogs and cats: Part I. Can Vet J. 2024;65(2):183-191.
(2) Sigrist NE, Adamik KN, Doherr MG, Spreng DE. Evaluation of respiratory parameters at presentation as clinical indicators of the respiratory localization in dogs and cats with respiratory disease. J Vet Emerg Crit Care. 2011;21:13-23.
(3) Drobatz KJ, Macintire DK, Hopper K, Silverstein DC. Management of respiratory emergencies in small animals. Vet Clin North Am Small Anim Pract. 2013;43(4):799-815.
(4) Thomovsky E, Ilie L. Basic triage in dogs and cats: Part I. Can Vet J. 2024;65(2):183-191.
(5) Charalambous M, Broeckx BJG, Bhatti SFM, et al. ACVIM Consensus Statement on the management of status epilepticus and cluster seizures in dogs and cats. J Vet Intern Med. 2024;38(1):173-209.
(6) Charalambous M, Broeckx BJG, Bhatti SFM, et al. ACVIM Consensus Statement on the management of status epilepticus and cluster seizures in dogs and cats. J Vet Intern Med. 2024;38(1):173-209.
(7) Charalambous M, Bhatti SFM, Van Ham L, et al. First-line management of canine status epilepticus at home and in hospital-opportunities and limitations of the various administration routes of benzodiazepines. BMC Vet Res. 2021;17:103.
(8) Rosselli D. Updated information on gastric dilatation and volvulus and gastropexy in dogs. Vet Clin North Am Small Anim Pract. 2022;52(2):317-337.
(9) Brockman DJ, Washabau RJ, Drobatz KJ. Canine gastric dilatation/volvulus syndrome in a veterinary critical care unit: 295 cases (1986-1992). J Am Vet Med Assoc. 1995;207(4):460-464.
(10) Rosselli D. Updated information on gastric dilatation and volvulus and gastropexy in dogs. Vet Clin North Am Small Anim Pract. 2022;52(2):317-337.
(11) Glickman LT, Glickman NW, Schellenberg DB, Raghavan M, Lee T. Non-dietary risk factors for gastric dilatation-volvulus in large and giant breed dogs. J Am Vet Med Assoc. 2000;217(10):1492-1499.
(12) Meola SD, Tearney CC, Haas SA, et al. Evaluation of trends in marijuana toxicosis in dogs living in a state with legalized medical marijuana: 125 dogs (2005-2010). J Vet Emerg Crit Care. 2012;22(6):690-696.
(13) Fernandez AL, Lee JA, Rahilly L, et al. The use of intravenous lipid emulsion as an antidote in veterinary toxicology. J Vet Emerg Crit Care. 2011;21(4):309-320.
(14) Thomovsky E, Ilie L. Basic triage in dogs and cats: Part I. Can Vet J. 2024;65(2):183-191.