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犬や猫が食べてはいけないもの

2024.06.18

こんにちは。
どうぶつ病院 京都 四条堀川 獣医師 尾関康江です。
気温がぐんぐん上がり暑い日が続いていますが、皆さんの愛犬・愛猫はいかがお過ごしでしょうか?

診察でよく診る機会があるのが誤飲誤食です。日本ペットフード協会の報告では、年間20万件以上の誤食誤飲が発生しているそうです。クリスマスや年末年始、バレンタインといった何かイベント事がある時期に多く見られます印象です。気を付けなければいけない物のリストが沢山あるため、今日は遭遇しやすいものについてお話しようと思います。

中毒性になる食べ物

ご存じの方も多いかもしれまんせんが、身近なものだと特にチョコレート、ネギ類、ブドウ、キシリトールがあげられます。

チョコレート

甘いものって美味しいですよね。チョコレートに含まれるメチルキサンチンアルカロイド(テオブロミン、カフェイン)という成分が中毒を起こします。犬・猫も甘い物が好きな子が多く、目を離した隙に食べてしまうことがあります。チョコレートの種類(カカオの量)によって含まれている成分量が異なり、特にブラックチョコレートは注意が必要です。症状としては、嘔吐、下痢、けいれんといって様々あります。ちなみにチョコレートの中に入っているナッツも高脂肪なので注意が必要です!

ネギ類(玉ねぎ、ニンニク、ニラ)

アリルプロピルジスルフィドという成分が中毒を起こします。これが赤血球の膜を破壊し、貧血や血尿を起こします。え?!と思われるかもしれませんが、玉ねぎが入ったスープ、すき焼き等の汁も注意が必要です。これは加熱されても中毒成分が分解されない為です。

ブドウ、レーズン

ブドウやレーズンは急性腎不全(短時間で急激に腎臓の機能が障害を受ける)を起こし、尿量が少なく(または出なく)なります。他に嘔吐、下痢などといった症状が見られます。なぜ中毒を起こしてしまうかの原因やメカニズムはまだ分かっていません。

キシリトール

犬がキシリトールを食べると体内で血糖値を下げる役割をしているインスリンが大量に分泌されます。これにより低血糖、肝機能障害、命に関わる場合もあります。小型犬であればキシリトールガム1粒でも中毒量となりえますので注意が必要です。

その他

食べ物ではないですが特に犬はユリに注意が必要です。花びらが大きく開き綺麗なユリですが、植物全体(花粉、葉、花弁等)が毒になります。少しかじっただけでも急性腎障害を起こし、涎、嘔吐、下痢といった症状が出ます。

また、よく目にするのが飼い主さんが服用されている薬を誤って食べてしまうケースです。これは食べてしまった薬の種類によりますが、血圧が下がったり、意識状態が落ちたりと時には重症化することもある為注意が必要です。

さらにたばこを誤食してしまうケースも多い印象です。飼い主さんが吸われない場合でもお散歩中に吸い殻を口にしてしまうことがありますので気をつけて下さい。たばこに含まれるニコチンが中毒になります。興奮、震え、嘔吐、下痢、流涎といった症状が出ます。

特に若い犬や普段から好奇心旺盛の犬は散歩道などで注意してあげましょう。

異物

注意が必要な異物として、

  • 竹串
  • おもちゃのボール
  • ストッキング、布類、マット(ジョイントマット、クロックスの端)
  • 果実や梅干などの種
  • 大量の砂利

があげられます。犬・猫によって好みが異なりますが、猫では紐とねずみのおもちゃは特に注意が必要です。

異物はどうして危険かというと、

  • 胃でころころして出てこない
  • 胃や腸の粘膜を傷つける
  • 胃の出口や小腸の途中で詰まって閉塞や穿孔してしまう
  • 進行すると周りの臓器や血管に負担がかかり腹膜炎を起こす

といった具合に、飲み込んでから時間経過と共に緊急性が高まっていきます。

飲み込んだ当初は少し食欲が落ちたり、数回吐くといった程度の軽い症状で気づきにくいことが多い為、注意が必要です。

処置としては、胃や胃を出てすぐのところであれば内視鏡にて取り出すことが可能な場合があります。取り出す事が難しい場所や内視鏡で取り出すことで余計に胃腸を傷つける場合は、開腹手術にて摘出を行います。
物によっては飲み込んですぐであれば催吐処置(薬剤を使用して吐かせる処置)をすることで、飲み込んでしまった物を回収できる場合がありますので気づいた場合はすぐに動物病院に相談するようにしましょう。

注意が必要な食べ物

食べても良いものであっても犬に与える際に注意が必要な物があります。それは甘い蜜がとても美味しいリンゴです。犬にリンゴを与えても良いですが、与える際の大きさに注意が必要です。大きさによっては喉に詰まらせて窒息してしまうことがあるからです。また、リンゴの種や芯は与えないようにしましょう。これはアミグダリンという成分が含まれており、それ自体は問題がないのですが、消化の途中で中毒を起こす可能性がある為です。また、農薬が使用されている場合は有害になる可能性がありますので、皮もよく洗ってから与えるようにしましょう。

また、クリスマスやBBQ先などでよく遭遇するのが鶏の骨です。フライドチキンは美味しいし、良い匂いがする為好きな犬も多いですよね。加熱をすると鶏の骨はもろく縦に裂けやすく避けやすくなり、ます。割れた先が喉に刺さったり、食道や胃を傷つける可能性があります。また、欠片が腸に詰まる可能性もある為注意が必要です。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
こんな物まで?と、私達が普段気にせず口にしていたり、うっかりしまい忘れているようなものも愛犬・愛猫が誤食してしまうことで時として命にかかわるを落とす危険性がありますので、是非知識として覚えておいて下さい。
万が一、愛犬・愛猫が口にしてしまった場合は、その物によって様子を見て良いのか、緊急で処置をした方が良いのか変わってきますので、ご心配な場合は動物病院までご相談、受診しましょう。

どうぶつ病院 京都 四条堀川
獣医師 尾関康江