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猫の爪切りについて|獣医師が猫の爪切りに必要なものと手順を解説

2024.06.04

こんにちは。
どうぶつ病院 京都 四条堀川 獣医師の尾関康江です。
「猫の爪切りで出血させてしまった」
「爪切りをしようとすると猫が攻撃してくる」
「そもそも猫の爪切りの仕方がわからない」

こんなお悩みを抱えていないでしょうか?
今回は

  • 爪切りをする理由
  • 爪切りの準備
  • 爪切りの方法

について解説していきます。
ぜひ最後までお読みいただき、上手に爪切りをできるようになっていただけたら幸いです。

爪切りをする理由

猫に爪切りは必要なのでしょうか?
主に屋外で生活をしている猫にとっては爪切りは必要ないことが多いです。
屋外で生活している猫の爪は、木や壁を登ったり、獲物を獲ったり、自分の身を守るため重要な役割をなしているからですね。
しかし、室内で生活をしている猫の爪にはこのような役割は必要ありません。爪切りをしない室内猫の中には、爪が伸びすぎて巻き爪になったり、折れて怪我をしたり、飼い主さんに怪我をさせてしまうことがあります。
動物病院では猫と共に豊かに生活してもらうために、爪切りを定期的に行うことをおすすめしています。

「うちの子は爪とぎをしているから大丈夫なのでは?」
と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、爪とぎと爪切りはそれぞれ役割が異なります。
爪とぎは古くなった爪を剥がし、新しく尖った爪を出すことで、爪自体の長さや鋭さは変わりません。
対して爪切りは長さや尖った部分を整える役割があります。

高齢になると爪とぎをする頻度が減り、放置しておくと伸びて巻き爪になった爪が肉球に刺さってしまうことがありますので定期的に爪の様子を見てあげましょう。

爪切りの準備

爪切りをする際に準備しておいた方がよいものには以下のものがあります。


・猫専用の爪切り(ハサミタイプ、ギロチンタイプ)


ギロチンタイプはギロチンの穴に爪を通して、ハンドルを握ることで爪を切れる仕組みです。爪が均一に切れる、音がしないことから音が苦手な猫に最適です。
ハサミタイプは初めて爪切りをされる方や慣れていない方におすすめの形です。子猫のやわらかい爪に適していますが、反対に爪が硬めの成猫さんや高齢猫で使用する際は割れてしまうことがあるので注意が必要です。
ちなみに人用の爪切りも使用できますがあまりお勧めは出来ません。猫の爪は先端が鋭いホックの様な形をしているのに対して、人の爪は横に平たく、形が大きく異なるため、途中で割れてしまう可能性があるからです。

・猫へのご褒美

猫がお気に入りの食餌やおやつを事前に準備しておくと良いでしょう。
好きなおもちゃがあればそれを使用しながら爪切りをするのもおすすめです。 

・猫を保定する為の洗濯ネット

猫は元々手先や足先を触られるのが苦手です。
爪切りをしようとすると不安を感じ逃げ回ったり、隠れたり、威嚇することもあります。
洗濯ネットを使用することで、猫を落ち着かせたり安心感をもたらすことができます。

爪切りの方法

では、実際どのように爪切りを行うのが良いでしょうか?

・猫を抱きかかえる

猫を後ろから抱きかかえ膝の上に乗せます。
出来れば猫が落ち着いている時や、お気に入りの場所でくつろいでいる時がおすすめです。
猫は手先・足先を触られるのが苦手なので、普段の生活から触るように習慣づけ爪切りへの抵抗感を下げておきましょう。


(動物病院 京都 ねこの病院の看板ねこ 嵐電。ちゃんがモデルになってくれました。可愛いですね。)

・切る順番の工夫

先に後肢から切る方が良い場合が多いようです。
逆に後肢が苦手な猫もいるので、どの肢から始めたら良いか観察してあげて下さいね。また、親指側が苦手な猫もいる為、ストレスが少ないところから始めるようにしましょう。

・爪を出す

猫はリラックスしている時は爪が出ていないので、爪の根本を上下で優しく押して爪を出してあげましょう。


(動物病院 京都 スタッフの愛猫の手です)

・爪の尖っている部分を切る

猫の爪を見ると薄っすらピンクに透けている部分(クイックと呼ばれます)があります。クイックは血管や神経が通っているため、ここを避けて尖っている部分2〜3mm程度を切ります。爪が黒い猫は血管や神経が見えないので、特に注意して実施しましょう。


(↑写真のオレンジで囲った部分に血管・神経が走っています)

先に述べた方法以外に様々な方法があると思いますので、飼い主さんがやりやすい方法を取り入れて下さいね。

注意点(ちょっとしたコツ)

・深爪

血管や神経が通っているところを切ってしまうと出血や痛みを伴います。爪を横から見ながらクイックの位置を確認し実施するようにしましょう。万が一、出血してしまった場合は清潔なガーゼで抑え止血しましょう。(もしお家に止血剤パウダーがあれば使用して下さい。一時的に小麦粉を止血剤代わりに使うこともできます。)もし、出血が続く場合は早めに動物病院を受診しましょう。
爪が伸びると共に、中の血管や神経も伸びてきますので、定期的に爪切りをするようにしましょう。

・タオルや洗濯ネットの使用

猫の特性を活かしてタオルケットで包んだり、洗濯ネットに入れて爪切りをすることもおすすめです。安心感が高まり爪切りを受け入れてくれる場合があります。

・おもちゃやおやつ

おもちゃやおやつを使用する方法は2人体制で実施する必要がありますが、おもちゃやおやつなしで1人で爪切りをするよりもスムーズに出来る場合があります。
1人はおやつやお気に入りのおもちゃで猫の気を引きます。その間にもう1人が猫の爪切りをしてあげましょう。ペースト状のおやつであれば切り口を小さくすればゆっくり出てきますし、食べる時間を稼ぐことができますね。

・何度かに分けて爪切り

私達でもじーっと嫌なことに耐えるのはしんどいですよね。これは猫でも同じなので、一度に全ての肢の爪切りをしようとせず、「今日は後肢にしよう」など数回に分けて実施することもおすすめです。こうすることで、あまり時間をかけずに実施出来、猫にとってのストレスも軽減できます。

・動物病院の利用

自宅で爪切りをするときに猫が嫌がって暴れてしまい、飼い主さんも大変な思いをされることもあります。
無理をして失敗しても猫がその先爪切りをさせてくれなくなったり、飼い主さんとの信頼関係がなくなってしまう原因にもなります。
その場合は、普段の生活で膝元での抱っこ、足先を触る練習から始めてみましょう。 無理はせず、難しい場合は是非動物病院をご利用下さい。

・シニア猫

猫は高齢になってくると爪とぎをあまりしなくなります。
爪とぎをしなくなると古い爪が残り、爪自体が硬く太いものになります。
太く硬い爪を切る時に強い力が加わり、その衝撃で”ぱちん”という音にびっくりして怖がる猫もいます。

関節が弱くなり痛みや違和感を伴うことで、若い時よりも手先、足先を持たれることを嫌がるようになることもあります。
この場合は、こまめに指一本ずつ爪切りをしてあげるか、難しい場合は動物病院にて爪切りをしてあげましょう。

まとめ

爪切りの頻度の理想は3週間から1ヶ月に1回実施することです。猫の爪をメンテナンスするのも大事ですが、爪切りをすることで飼い主さん自身を守ることにもつながります。是非試してみて快適な生活を送って下さい。
動物病院でもやり方などご説明できますので、ご心配ごとがありましたら是非スタッフまでお声がけ下さい。

どうぶつ病院 京都 四条堀川
獣医師 尾関康江