2025.08.19
「先生、うちの子太ってますか?」
動物病院で最もよく聞かれる質問の1つです。愛犬の体重が気になっている飼い主様、「太りすぎかな?」と心配しつつも、「ちょっとぽっちゃりしている方が愛らしい」「実際どうやって体重管理するの?」心配されているのではないでしょうか。
安心してください。この記事を読み終える頃には、ご自宅で愛犬の体型を正しく判断でき、必要に応じて適切な対策を取れるようになります。
まずは簡単にできるチェック方法をお伝えします。
以下の項目に当てはまるものがあれば、体重管理が必要な可能性が高いです:
1つでも当てはまる場合は、この記事を最後まで読んで対策を検討してください。
肋骨チェック:犬の胸の横に手のひらを当て、軽く押してみる
✅ 薄い皮膚の下に肋骨を感じる → 適正
⚠️ 押してもなかなか肋骨に触れない → 太りすぎの可能性
くびれチェック:犬の真上から見下ろす
✅ 胸から腰にかけて「くの字」に細くなっている → 適正
⚠️ ずんどう体型で腰のくびれが見えない → 太りすぎの可能性
BCS(ボディコンディションスコア)は、犬の体型を1〜9段階で客観的に評価する国際基準です。理想は4〜5です。
犬の適正体重を調べるにあたって、現時点で犬がどの段階にいるか調べましょう。
適正体重は以下のように計算することができます。
適正体重=体重÷BCSの値×5.5
ただし、適正体重は、犬種、年齢、生活環境によって変動することからあくまでこの計算式は目安になります。体重管理を行う中で、理想のBCSを目指しましょう。
体重管理は見た目の問題ではありません。愛犬の健康と寿命に直結する重要な問題です。
肥満による健康リスクは以下のようなものがあります。
「パッケージの給与量通りにあげているのに太る」というお悩みをよく聞きます。犬に必要なカロリーは個体差があり、正確な計算が重要です。
犬が何もしていない時に必要な基礎カロリーを求めます。
例:体重5kgの場合
RERに犬の状態に応じた活動係数をかけます。
愛犬の状態 | 活動係数 |
子犬(生後3ヶ月まで) | 3.0 |
子犬(生後4〜9ヶ月) | 2.5 |
子犬(生後10〜12ヶ月) | 2.0 |
成犬(未避妊・未去勢) | 1.8 |
成犬(避妊・去勢済み) | 1.6 |
肥満気味の成犬 | 1.4 |
ダイエット中 | 1.0 |
シニア犬(未避妊・未去勢) | 1.4 |
シニア犬(避妊・去勢済み) | 1.2 |
計算例:体重5kg、避妊済みの成犬の場合
234kcal × 1.6 = 374kcal/日
1日のエネルギー要求量 ÷ フードの100gあたりのカロリー × 100 = 1日のフード量(g)
例:上記の犬、フードのカロリーが350kcal/100gの場合
374 ÷ 350 × 100 = 約107g/日
「先生、うちの子ご飯を全然食べてないのに太ってるんです」
実はこれ、とても多いご相談です。そして99%の場合、原因はおやつにあります。
例えば、小型犬(4kg)で、1日に必要なカロリ-が約280kcalだとすると、1日のおやつ量はクッキーが1~1枚半になります。
「ちょっとだけ」のつもりでも、家族みんなが「少しずつ」あげたり、人間の食べ物をおすそ分けしているとすぐにカロリーオーバーになるため注意が必要です。
心疾患、関節疾患、糖尿病などがある場合は、必ず獣医師と相談しながら体重管理を行ってください。
以下の場合は、自己判断せずに動物病院にご相談ください。
愛犬の適正体重を正確に判断することは、健康で長生きしてもらうための最も重要な健康管理の1つです。
まずは触診による肋骨チェックと上から見たくびれの確認から始めてみてください。この簡単な方法だけでも、愛犬が適正体重かどうかをある程度判断することができます。
体重管理は1日で結果が出るものではありません。愛犬の年齢、犬種、活動レベル、健康状態によって適正体重は変化するため、定期的なチェックと継続的な管理が必要になります。月に一度は体重測定を行い、BCS評価で体型をチェックする習慣をつけることをおすすめします。
もし判断に迷った場合や、食事制限を行っても体重が減らない場合、急激な体重変化がある場合は、当院までご相談下さい。
監修:CUaRE 動物病院京都 四条堀川