2025.10.14
目次
愛犬も人間と同じように年齢を重ねると、体の変化に合わせた食事管理が必要になります。
「いつからシニア犬用フードに変えるべき?」
「何に気をつけて選べばいいの?」
といった疑問をおもちではないでしょうか。
そんな飼い主様の疑問にお答えします。
犬のシニア期は体の大きさによって違います
大型犬の方が早くシニア期を迎えるのは、成長が早い分、体の老化も早く進むためです。
人間と同じように、犬も年齢とともに筋肉量が減少します。特に後ろ足の筋肉から減っていくことが多く、階段の上り下りが辛そうになったり、散歩の距離が短くなったりします。
年齢とともに食べ物を消化・吸収する力が少しずつ低下します。特に猫では顕著ですが、犬でも個体差があります。
活動量が減り、基礎代謝も下がるため、若い頃と同じ量を食べていると太りやすくなります。
シニア期の目安はありますが、個体差があります。実際どのように「シニア期」のおとずれを知り、食事を切り替えていけばよいのでしょうか?
年齢と主に以下のような老化サインを参考に検討しましょう。
✅眼や口周りの毛が白くなってきた
✅1回に食べる量がへってきた
✅お腹が緩く、下すことが増えた
✅硬いもの(ドライフード)が食べずらそう
✅寝る時間が長くなった
✅お散歩を嫌がり、運動量が減った
ドッグフードには「子犬用」「成犬用」「シニア犬用」といったライフステージ別の商品があります。これは、年齢によって犬の体の状態や必要な栄養が変わるからです。
シニア期には加齢によって以下のような体の変化が認められます。
シニア期に生じる体の変化に対応するため、シニア犬用フードには以下のような工夫がされています。
| 特徴 | 理由 |
| 脂質控えめ | 太りやすくなるのを防ぎ、消化の負担を軽減 |
| カロリー調整 | 代謝低下に合わせてエネルギー量を調整 |
| 香り豊か | 嗅覚の衰えをカバーして食欲を刺激 |
| 関節サポート成分 | DHAやEPAなどで関節の健康を維持 |
| 食べやすい粒 | 噛む力が弱くなっても食べやすいサイズ・硬さ |
全年齢対応のフードでもシニア犬に与えることは可能です。ただし、カロリー過多にならないように給餌量を守って給餌しましょう。
シニア犬用のフードであればどれでも良いというわけではありません。シニア犬用フードの中でも、栄養バランスにばらつきがあるためです。
それぞれの犬に適したフードを選ぶポイントを解説します。
「タンパク質をとりましょう」とよく聞きますが、どんなものが良質なタンパク質なのでしょうか?
タンパク質に関してのポイントは以下の通りです。
シニア犬になると内臓機能が低下し、消化能力も衰えてきます。タンパク質は栄養素の中でも消化分解しづらく、体に負荷をかけるため、良質なタンパク質が含まれたフード選びがおすすめです。
また、シニア犬は筋肉量を維持するために、成犬よりも多くの良質なタンパク質が必要です。研究では、シニア犬は成犬よりも多くのタンパク質が必要とされています。
ただし、腎臓病など特別な病気がある場合は事前に獣医師に相談しましょう。
どんなタンパク質が使われているかの情報開示を確認しましょう。「〇〇産のラム肉」「サーモン」「鶏ささみのみ使用」といった様に主原料がはっきりと明記してあるものが理想です。
タンパク質が良質であるかどうかを確認したら、含まれるタンパク質の数値にも気をつけましょう。理想は今与えているフードと「同等」または「数%高い数値」です。
活動量が減るため、カロリーは若い頃より少なめに調整する必要があります。脂質やカロリーを摂り過ぎると、シニア犬でも肥満を招くからです。太りすぎは関節に負担をかけ、様々な病気のリスクを高めます。
消化能力が落ちることを考慮し、消化しやすい食材を使った食事を選びましょう。
シニア犬になると、人間と同じように骨や関節が弱くなってきます。できればサポート成分が含まれた物を選びましょう。
オメガ3脂肪酸(魚油など)は炎症を抑え、関節や脳の健康維持に役立ちます。また、グルコサミンなどの関節サポート成分が含まれた食事も有効です。
シニア犬用のフードに切り替える時、急に変えるのはNGで1週間程時間をかけて移行していきましょう。
理由としては、以下のような点があります。
また、以下のような体調変化に注意しましょう。
2、3日以上続く場合は、フード以外の原因が隠れている可能性があるので、動物病院を受診しましょう。
愛犬がシニア期に入ったら、食事の見直しは避けて通れない重要なケアの1つです。一般的に小型犬は7歳、大型犬は5歳頃からシニア期に入りますが、個体差があるため愛犬の体調や活動量の変化を注意深く観察することが大切です。
シニア犬の食事変更では、消化しやすい高品質なタンパク質を選び、関節をサポートする成分や抗酸化物質を含むフードを選択しましょう。食事の切り替えは急激に行わず、1週間から10日程度かけて新しいフードの割合を段階的に増やしていくことで、お腹を壊すリスクを避けられます。
また、シニア犬は基礎代謝が低下するため、肥満を避けるために給餌量の調整も必要です。定期的な体重測定と獣医師との相談を通じて、愛犬一匹一匹に最適な食事プランを立てることが、健康で快適なシニアライフを送るための鍵となります。食事の変化と合わせて、適度な運動と定期健診も忘れずに継続し、愛犬の黄金期を大切にサポートしてあげましょう。
監修:CUaRE どうぶつ病院京都 四条堀川