2025.10.21
目次
「愛犬に20歳まで元気で生きてもらいたい」
「健康寿命を延ばす方法が知りたい」
そんな願いを抱かれたことはないでしょうか?
最近、SNSなどで「ご長寿犬」「健康寿命」という話題を目にすることも増えています。
実は、最新の科学研究により、犬の20歳達成は決して夢物語ではないことが明らかになっています。適切なケアを行うことで、愛犬の健康寿命を大幅に延ばすことができるのです。
科学的な研究データに基づいて、犬の20歳到達の可能性と、実際に愛犬の健康寿命を延ばすためにできることについて、飼い主さんにお伝えしたいと思います。
犬の平均寿命について、ハッキリとした統計がないのが現状です。一般的には「10〜13年」と言われることが多いですが、ばらつきがあります。
寿命に影響する要因としては以下のようなものがあります。
獣医療の進歩と、飼い主さん達のケアのおかげで、過去40年間の研究を見ると、犬の寿命は着実に延びています。
確認されている最長寿記録は、「Bluey」というオーストラリアン・キャトル・ドッグで、1910年から1939年まで29歳5か月生きました¹。働き犬として活動しながら、この記録的な長寿を達成したのです。
最近話題になった31歳のBobi(ボビ)という犬もいましたが、残念ながら年齢の証明が不十分だったため、公式記録は取り消されました²。
20歳到達は「生物学的には不可能ではない」けれど、「非常に珍しいこと」というのが正直なところです。
最新の研究で、犬の老化には「テロメア」という細胞の一部が深く関わっていることがわかってきました³。
テロメアとは、以下のような特徴があります。
この研究で面白いのは、15の犬種を調べたところ、テロメアの長さが寿命を予測する重要な指標になることがわかったことです。
多くの研究で確認されていることですが、小型犬の方が大型犬より長生きする傾向があります。
この理由として考えられる要因は、以下のようなものがあります。
最新の研究では、食事の適切なカロリー制限をすることで、寿命が1. 8年伸びたと報告されています。
また適切な食事量の給餌により、関節炎などの病気の発生が2年程遅れたと報告されています。
では、実際にどのような食生活をすれば良いのでしょうか?
カロリー制限のための急激な食事制限は危険です。必ず獣医師と相談しながら進めましょう。
現在、どれくらいの食事を与えているかキッチンスケーラーできちんと測定し、記録します。
獣医師に犬の理想体重を確認し、目標設定をします。
目標体重に必要な食事量を計量します。
いきなり目標体重を目指すのではなく、まずは現在食べている食事量の10%減らした量で体重が減るか見てみましょう。
適正体重の詳しい解説についてはこちらhttps://x.gd/5wW8Qも参考にして下さい。
月1回の体重チェックを習慣にしましょう。定期的に体重測定を行い、適正体重を維持できるよう食事量や運動量を見直しましょう。
また、体重が急激に増えたり、落ちている場合は、何かしら病気が隠れている可能性がありますので、早めに動物病院を受診するようにしましょう。
定期的な健康診断を受けることで、犬の健康状態を知ることが大切です。1年間で犬は人の4~5年歳を取るとされています。1~7歳の間では年1回、8歳以上は年2回以上の健康診断が推奨されます。
感染症を防ぐためのワクチン接種、フィラリア症や、ノミ・ダニなどの寄生虫予防の駆虫を定期的に受けましょう。
適度な散歩や運動は心や体に良い刺激をもたらします。新しい散歩コースに変えたり、知的な遊びで脳を刺激することも大切です。
犬が20歳まで生きる可能性はゼロではないが、極めて低いというのが現実的な評価です。20歳という数字にこだわるよりも、犬が毎日幸せで健康に過ごせることを目標にしていきましょう。
以下のようなことを意識することで、犬の寿命における質を上げることができます。
科学的な研究から学べることはたくさんありますが、最も大切なのは今この瞬間の愛犬との時間を大切にすることです。
20歳到達という目標も素敵ですが、それよりも「愛犬が毎日尻尾を振って幸せそうにしている」「痛みなく快適に過ごしている」ということの方が、はるかに価値のある目標だと思います。
何かご心配なことや気になることがあれば、遠慮なく当院までご相談下さい。
監修:CUaRE どうぶつ病院京都 四条堀川
院長 吉田昌平