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愛犬の震えが気になる|震えの理由と受診の目安について獣医師が解説

2025.02.25

愛犬が震えている姿に遭遇したことがある犬の飼い主様は多いのではないでしょうか?
特に、寝ている時に震えている姿を見かけると、多くの飼い主様が不安を感じられます。

「我が子が震えているけれど、何か病気なのではないだろうか?」
「どんな時に動物病院を受診したら良いの?」
こんな不安を抱えておられませんでしょうか。
実際、動物病院でもよく相談を受ける症状の一つです。

今回は犬の飼い主様に

  • * 震えの種類と主な原因
  • * 正常な震えと病気が疑われる震えの違い
  • * 動物病院を受診すべきタイミング

について解説します。
ぜひ、最後までお読みいただき、震えについての理解を深めていただければ幸いです。

犬の震えの種類と主な原因

愛犬の震えには、生理的な反応として起こる正常な震えと、病気が原因で起こる震えがあります。まずは、正常な震えから解説します。

寒さによる震え

寒い時期や冷房の効いた室内で見られる震えです。犬は汗腺が少なく、寒い時は体を震わせることで筋肉を動かし、体温を上げようとします。「シバリング」と呼ばれる正常な行動です。
体温調節がうまくできなくなるような病気(甲状腺機能低下症など)が隠れている場合もあるので、気になる場合は早めに動物病院を受診しましょう。

また、体が冷え切ってしまっている場合は、低体温症の場合もありますので注意が必要です。

ストレスや恐怖による震え

犬もストレスや恐怖を感じると震えることがあります。他の動物や大きな音、知らない場所などが原因として挙げられます。多くの場合、恐怖の対象がなくなれば次第に落ち着いていきます。

加齢に伴う震え

高齢犬によく見られる症状で、特に起床時や動き出しの時に震えが見られます。筋力の低下や関節の変形が原因となっていることが多いです。

病気が疑われる震え

犬の震えの中には、病気のサインとして現れるものもあります。代表的な原因は以下のようなものです。

脳障害によるもの

けいれんを起こすような病気では、その軽い症状として、また、けいれんの前兆として震えることがあります。
具体的にはてんかん、脳炎、脳腫瘍、水頭症などの病気が挙げられます。

細かな体の動きは、口頭では伝えるのが難しいことがあります。可能であれば、その様子をスマートフォンで動画撮影しておくと、診察時に獣医師が正確に状態を把握しやすくなります。以下のような点が観察ポイントです。

  • 震えの激しさ
  • 震えている部位、
  • いつ頃から症状が出始めたのか
  • どのくらいの時間続いているのか
  • 震える前に普段と様子が違う点
  • 食欲や元気の有無

身体機能の不全

腎機能や肝機能に異常が出た場合も、体の震えとして症状が現れることがあります。腎臓や肝臓は体の中の老廃物を代謝、排泄する臓器です。きちんと機能できなくなると、毒素が蓄積してけいれんなどの神経症状が起き、その前兆として震えることがあります。

食後や排泄時に震えが出たら、早めに動物病院を受診するようにしましょう。

痛みによるもの

体のどこかに痛みや違和感があると、痛みに耐えるように震えます。代表的な病気として、椎間板ヘルニア、関節症、骨折が挙げられます。体が痛いと以下のような症状を伴う場合がありますので、気になる場合は早めに動物病院を受診するようにしましょう。

  • 動きが鈍くなる
  • 足を引きずる
  • 抱っこを嫌がる
  • 「きゃん」と鳴く

また、膵炎や重度の胃腸炎など腹部痛を伴う場合も震えが認められます。

中毒による震え

犬にとって有害な物を誤って摂取した際に震えが現れることがあります。中毒によって、肝臓や腎臓の機能が急激にダメージを受けたり、低血糖になる場合もあります。

特に注意が必要なものとして、以下のようなものがあります。

  • チョコレート
  • 玉ねぎ(玉ねぎが溶けたスープ、ハンバーグ)
  • ネギ類
  • タバコ

中毒の場合、時間経過とともに症状が急激に悪化する可能性があり、早期の治療開始が必要です。誤食による震えが疑われる場合は、直ちに動物病院を受診するようにしましょう。

発熱による震え

犬は原因となるウイルスや細菌などの病原菌を抑えるために、体温を上げる手段として筋肉を震わせます。

このような発熱時の震えでは、以下のような症状を伴うことが多くあります。

  • 元気がない
  • 食欲が落ちる
  • 嘔吐
  • 下痢

特にぐったりしている様子が見られる場合は、重症化を防ぐためにも、なるべく早く動物病院を受診するようにしましょう。

寝ている時の震え

犬が寝ている時に震えると、何か病気ではないだろうかと不安に感じますよね。

寝ながら震える原因の多くは睡眠状態に関係します。犬でも眠りが浅い時間帯(レム睡眠)があり、体から力が抜けてリラックスしている一方で、脳は活発に動いています。脳の反応に伴い体が震えたり、目をぴくぴくさせたりします。健康な犬でもよく見られる正常な反応です。

寒い環境下で寝ている場合も体を震わせる場合があります。筋肉を小刻みに動かすことで熱を産生する体温調節の仕組みです。特に体温調節がうまくできない子犬やシニア犬では注意が必要で、適切な室温管理や保温対策が大切です。

受診するタイミング

犬が震えている時に動物病院を受診した方が良いか悩みますよね。
犬の震えの多くは、一時的なもので、原因となる状況が解消されれば自然と落ち着いていきます。

以下のような点が当てはまる場合は、病気が隠れている可能性が疑われるので、早めの受診が大切です。

  • 震えが長時間収まらない、または急に激しくなる
  • 意識がもうろうとしている、けいれんする
  • 触られることを嫌がる、動きたがらない
  • 普段よりも呼吸が速い
  • 食欲がない、元気がない
  • 嘔吐や下痢を伴う

まとめ

愛犬の震えには、生理的な反応として起こる正常な震えと、病気のサインとして現れる震えがあります。犬は痛みや症状を言葉で説明できません。普段から愛犬の様子をよく観察し、いつもと違う点があれば記録を取っておきましょう。

監修:CUaRE 動物病院京都 四条堀川