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犬の介護準備はいつから?シニア期に備えて、今からできること

2026.02.03

「最近、階段の上り下りがゆっくりになってきた気がする」
「お散歩中、前よりも立ち止まることが増えた」
そんな小さな変化に気づいたとき、
「そろそろ介護のことも考えた方がいいのかな…」と
不安を感じる飼い主様も多いと思います。

犬の平均寿命は年々延び、長く一緒に過ごせる時代になりました。
その一方で、長生きだからこそ必要になるのが、
シニア期のケア介護の準備 です。

実際、11〜12歳の犬の約28%、15〜16歳では約68%に
認知機能の低下がみられるという報告もあります(1)。
しかし、介護は突然始まるわけではありません。

少し早めの準備が、犬にとっても飼い主様にとっても、
穏やかで安心した日々につながります。

介護準備はいつから?目安は「7歳前後」

一般に、犬は7歳頃からシニア期に入ると言われています(2)。
ただし犬種によって時期は異なります。

  • 大型犬:6〜7歳頃
  • 小型犬:9〜10歳頃

シニア期になると、免疫力や代謝の変化に加え、
関節・筋力の衰えも少しずつ現れてきます。
「早めに気づき、早めに対策する」ことが、
後の負担を大きく減らしてくれます。

こんな変化が見えたら、準備を始めるサイン

以下のような変化は、介護準備の合図です(3,4)。

歩き方の変化

  • 段差を嫌がる
  • 立ち上がりに時間がかかる
  • 散歩の距離が短くなる

排泄の変化

  • トイレの失敗が増える
  • 排泄時の姿勢がふらつく

食事の変化

  • 食べにくそう
  • 食事量が減る

認知機能の変化

  • 呼びかけへの反応が鈍い
  • 夜鳴きが増える
  • 目的なく歩き回る

老化と思われがちな変化も、“痛み”のサインであることがあります。
これらの行動変化は「歳のせい」と思われがちですが、
実は関節炎や神経痛など、痛みが隠れている場合も多くあります。
犬は痛みを隠したり我慢しやすいため、
行動の変化・体のサイン・触った時の反応を総合して痛みを評価します(5)。
小さな違和感でも、そのままにせずご相談ください。

介護に役立つアイテム

必要なときに慌てないよう、少しずつ揃えておくと安心です。

食事サポート

  • 高さ調整できる食器台
  • 持ち手つき食器
  • シリンジ(流動食の給餌用)

シニア期は前足の筋力が弱まり、
頭を下げる姿勢が負担になることがあります。
高さのある食器は、楽な姿勢で食べられる助けになります。

移動・運動サポート

  • 歩行補助ハーネス
  • ペット用カート
  • 滑り止めマット・カーペット

弱ってきた後足を支えるハーネスは散歩・排泄介助に便利です。
カートは、歩けなくなった後も外の空気を感じるために役立ちます。

排泄ケア

  • 犬用おむつ
  • ペットシーツ
  • お尻拭き

赤ちゃん用おむつにしっぽ穴を開けて代用することもできます。

休息サポート

体圧分散マット・クッション

寝返りが減ると床ずれのリスクが上がるため、
やわらかく体を支えるマットがおすすめです。

愛犬が過ごしやすい環境づくり

介護は“道具”だけではありません。
生活環境を整えることが、犬の生活の質(QOL)を大きく左右します。

バリアフリー化

  • 段差の解消
  • 家具の角や隙間にクッション材をつける
  • 滑りにくい床材へ

特にフローリングは滑りやすいため、
滑り止めマットの設置がおすすめです。

生活動線の見直し

  • 水飲み場・ベッド・トイレを近くに配置
  • 家族がそばにいられる場所に休息スペース
  • 季節に合わせた温度管理

シニア犬は体温調節が苦手です。
快適な温度を保つことが負担の軽減につながります。

飼い主様の心も守るために

介護は愛情が深いほど頑張りすぎてしまうことがあります。
ですが、一人で背負わないことがとても大切です。

  • 家族で分担する
  • 定期的に動物病院でチェックを受ける
  • 必要に応じてプロのサポートを利用する

どれも、飼い主様自身を守る大切な選択肢です。

記録をつけるメリット

  • 食事量
  • 排泄状況
  • 気づいた変化

これらをメモしておくと、診察時に非常に役立ちます。
犬の状態を客観的に把握することにもつながります。

介護は「犬との絆が深まる時間」

介護は、決して楽なことばかりではありません。
不安や戸惑いを感じる日もあると思います。
それでも、ゆっくり向き合う時間の中で、
これまで以上に犬との絆が深まる瞬間が訪れることがあります。
また、
似た悩みを持つ方たちとつながることで、気持ちが少し楽になることもあります。
介護の時間は、犬への恩返しでもあり、
家族として過ごす尊い時間でもあります。

まとめ

  • 介護準備は 7歳前後 から
  • 歩行・排泄・食事・認知の変化は“サイン”
  • アイテム・環境は 少しずつ整える
  • 一人で抱え込まず、動物病院や家族と一緒に
  • 気になる変化は 早めに相談

「今ある時間を大切に過ごす」
──その気持ちが、犬にとっても飼い主様にとっても、
穏やかな毎日につながります。

監修:CUaRE どうぶつ病院京都 四条堀川
院長 吉田昌平

引用文献
(1)Salvin HE, et al. Canine cognitive decline and Alzheimer disease: clinical insights to solve a shared one-health problem. J Am Vet Med Assoc. 2023;261(11):1664-1675.
(2)Adams VJ, et al. Canine Geriatric Rehabilitation: Considerations and Strategies for Assessment, Functional Scoring, and Follow Up. Front Vet Sci. 2022;9:842458.
(3)Madari A, et al. Novel Diagnostic Tools for Identifying Cognitive Impairment in Dogs: Behavior, Biomarkers, and Pathology. Front Vet Sci. 2020;7:551895.
(4)Landsberg GM, et al. Cognitive dysfunction syndrome: a disease of canine and feline brain aging. Vet Clin North Am Small Anim Pract. 2012;42(4):749-768.
(5)Villalobos AE. Quality of Life Scale helps make final call. VPN. 2004;19(9):20-21.