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犬の水分摂取を促進する工夫|簡単にできる方法を獣医師が解説

2025.11.25

「最近、愛犬があまり水を飲んでいない気がする…」
「仕事で忙しくて、こまめに水を替えてあげられない…」
「どうすれば簡単に水分摂取を増やせるの?」
そんな不安を感じている飼い主さまは多いです。

実は、水分不足は腎臓病や尿路結石などの深刻なトラブルにつながることがあります(1)。
でも、ちょっとした工夫だけで、愛犬の水分摂取はぐっと増やすことができます。

この記事では、

  • 手軽な給水器の選び方
  • ウェットフードの活用
  • 腎臓病予防にもつながる水分管理のコツ

を獣医師が分かりやすく解説します。

なぜ犬の水分摂取を促進する必要があるのか

犬の体の約60〜80%は水分でできています。
体温調整・栄養の運搬・老廃物の排出など、生命維持のすべてに深く関わっています。

水分不足が招く主な健康リスク

腎臓病

濃い尿が続くことで腎臓に負担(1,2)

尿路結石

尿中ミネラルが結晶化しやすくなる

脱水症状

倦怠感・食欲不振・便秘など

尿路感染症

濃縮尿は細菌が繁殖しやすい

特に慢性腎臓病(CKD)では、水分摂取を増やすことが病気の進行を遅らせる重要因子 だと研究で示されています(1,3)。

犬に必要な水分量の目安

健康な犬の必要水分量は体重1kgあたり1日60〜70ml(4)
例:10kgの犬 → 600〜700ml程度
以下の犬はさらに多めの水分が必要です。

  • 暑い季節
  • 運動量が多い
  • ドライフードが中心
  • シニア犬
  • 腎臓に不安がある
  • 授乳中の母犬

犬の水分摂取を増やす3つの工夫

給水器を工夫する

▶ 忙しい飼い主さんには「循環式給水器」が便利

循環式給水器のメリット:

  • 水替えの回数が減って時短になる
  • 長時間“新鮮な水”を保てる
  • 動く水に興味を示して自然と飲む
  • 旅行や外出が多い家庭でも安心

「水替えを毎日できない…」という飼い主さんにこそ大きな味方です。

▶ 複数箇所に水入れを置く(かなり効果的)

犬は「目に入った時に飲む」ことが多い動物です。
置く場所の例:

  • リビング
  • 寝室
  • 廊下
  • ベッド付近
  • ベランダ(外に出る習慣がある場合)

置くだけで飲水機会が自然に増える、最も手軽な方法のひとつです。

ウェットフードの活用

ウェットフードは水分70〜80%と非常に水分量が高い(5)。
食事をしながら、自然に水分補給ができます。

▶ 水分補給の具体的なイメージ

  • 缶詰370g → 水分約270〜295g
  • 10kgの犬なら、必要水分の約“半分”を食事でまかなえる
  • 忙しい朝でも「出すだけ」で水分摂取UP

▶ ウェットフードの口腔ケア

ウェットはどうしても歯に残りやすいため、以下を併用:

  • 食後に水を飲ませる
  • 歯磨きガム
  • 週2〜3回の歯磨き
  • 定期的な歯科チェック

上手に使えば「水分摂取」と「歯の健康」両立が可能です。

清潔な水を保つ(意外と重要)

犬は“きれいな水”をよく飲みます。
水入れは家の中で4番目に細菌が多い場所と報告されているほど。
忙しい人でも続けられる工夫:

  • 朝のルーティン(歯磨き)とセットで洗う
  • 食洗機対応の水入れにする

清潔な水=飲みたくなる水。
水分摂取量は明らかに変わります。

水分摂取と腎臓病予防の関係(科学的エビデンス)

腎臓病予防に「水分摂取」は極めて重要。
水が足りない → 尿が濃くなる → 腎臓に負担 → CKDリスク上昇(1,2)。
実際の臨床研究では、CKDと診断されたの犬の48〜57%に“水分摂取の増加”が推奨されていました(3)。

推奨される方法:

  • 腎臓病用の療法食への切り替え
  • ドライフードへの加水
  • 自由に水を飲める環境の整備

これらの方法により、食事を工夫して水分を増やすことが、CKD管理の中心的な対策として広く行われています。(1)。

まとめ

水分摂取を増やすために必要なことは、実はとてもシンプルです。

  • 給水器を工夫する
  • ウェットフードを活用する
  • 清潔な水を保つ

これらは忙しい飼い主さんでも、今日からすぐに取り入れられる方法ばかり。
水分は腎臓だけでなく、全身の健康を守る土台になります。

「最近、あまり水を飲まないな」と感じたら、早めにご相談ください。
大切な家族である愛犬が、毎日元気に過ごせるように。
今日から、できる小さな工夫を始めてみませんか?

監修:CUaRE どうぶつ病院京都 四条堀川
院長 吉田昌平

引用文献
(1) Polzin DJ. Chronic kidney disease in dogs and cats. Vet Clin North Am Small Anim Pract. 2011 Jan;41(1):15-30.
(2) Langston C. Managing fluid and electrolyte disorders in renal failure. Vet Clin North Am Small Anim Pract. 2008 May;38(3):677-97.
(3) Replicating the real-world evidence methods available in human health to assess burden and outcomes for dogs with chronic kidney disease, their owners, and the veterinary healthcare system in the United States of America. Front Vet Sci. 2025.
(4) Total Water Intake and Urine Measures of Hydration in Adult Dogs Drinking Tap Water or a Nutrient-Enriched Water. Front Vet Sci. 2018 Dec.
(5) Age-related digestibility of nutrients depending on the moisture content in aged dogs. J Anim Sci Technol. 2021 Nov.
(6) Wei A, Fascetti AJ, Villaverde C, et al. Effect of water content in a canned food on voluntary food intake and body weight in cats. Am J Vet Res. 2011.