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猫の歯磨きは本当に必要?|口腔ケアの重要性と実践方法について獣医師が解説

2025.08.26

「猫に歯磨きは必要ですか?」

「自然にきれいになるのでは…」

といった質問を当院でも飼い主様からよくいただきます。答えは「はい、必要です」

野生の猫とは異なり、室内飼いの猫は柔らかいフードを食べることが多く、歯垢が蓄積しやすい環境にあります。適切な口腔ケアを行わないと、歯周病をはじめとする様々な健康問題を引き起こす可能性があります。

理想的な開始時期は子猫の時からです。生後4-6ヶ月頃から段階的に始めることで、猫が口腔ケアに慣れやすくなります。

猫の口腔ケアが重要な理由

猫の歯磨きを含めた口腔ケアが必要な理由は以下の通りです。

歯周病の予防

猫の歯周病は非常に一般的な疾患で、3歳以上の猫の約8割が何らかの歯周病の症状をもっているとされています。歯垢が歯石に変化すると、細菌の温床となり、歯茎の炎症や歯の喪失につながります。

全身への影響を防ぐ

口腔内の細菌は血流に乗って全身に運ばれ、以下のような臓器に影響を与える可能性があります:

  • 心臓:心内膜炎のリスク増加
  • 肝臓:肝機能への悪影響
  • 腎臓:腎機能低下の要因の一つ

特に腎臓病との関連性は注目されており、歯周病が進行した猫では腎臓病の発症リスクが高くなることが報告されています。

生活の質の向上

歯周病による口腔内の痛みは、猫の食欲低下や行動変化を引き起こします。適切な口腔ケアにより、猫が快適に過ごせる環境を維持できます。

子猫からの口腔ケア(生後4-6ヶ月〜)

「猫の歯磨きはいつから始めれば良いの?」

答えは「できるだけ早く」。

子猫の時から口腔ケアを始めることが最も重要です。この時期から慣れさせることで、成猫になっても口腔ケアを受け入れやすくなり、将来の猫の健康を守ることができます。

歯磨きの手順を解説します。

ポイントは歯磨きをできるようになることではなく、歯磨きが怖いものではないと覚えさせることです。

  1. 猫がリラックスしている時に、顔や首元を触る練習をする
  2. 慣れてきたら口元を触る
  3. 口元を触る時間を徐々に長くする
  4. 直接指で猫の歯を触る
  5. 湿らせたガーゼを指(人差し指)に巻き、歯の表面を優しく触る
  6. 慣れてきたら歯ブラシを使ってみる

嫌がったらその時点で終了し、なるべく短時間で済ませることがポイントです。

シニア猫の注意点

7歳以上のシニア猫では、すでに歯周病になっていることがあります。以下の症状に注意してください。

  • 口臭が強くなった
  • 歯茎が赤く腫れている
  • 食べ方が変わった(片側で噛む、食べるのが遅い、ウェットフードを好む)
  • よだれが増えた

シニア期から歯磨きを始める場合は、事前に、動物病院で口腔検診を受けましょう。

デンタルトリーツの効果と活用法

歯磨きが困難な猫には、デンタルトリーツも有効な選択肢です。噛むことで歯垢を除去する効果が期待されています。

繊維質やトリーツの凸凹した表面が、歯垢を絡めとります。

デンタルトリーツには、スナックやガムタイプのものから、ジェル状のもの、おもちゃタイプのものと様々です。猫の年齢や健康状態に適したものを選択し、気軽に始めてみましょう。

ただし、与えすぎに注意し、食事量を調整しましょう。

定期的な獣医師による検診の重要性

猫の口腔ケアにおいて定期的な健診が大事です。家庭での口腔ケアだけでは限界があり、専門的な診断が必要な場合があるからです。

実際に、毎日自宅で歯磨きをされている猫でも、実は歯周病が進行しているケースも少なくありません。また、吸収病巣や口内炎といった歯科疾患については、残念ながら歯磨きでは対処が難しく、抜歯が主な治療法となります。

まとめ

人と同様に猫の口腔ケアはとても大事です。飼い主様と猫どちらにとっても口腔ケアが楽しい時間であるように、無理強いはせずできるところから始めてみましょう。

また、猫のライフステージのどの段階でもお口の問題が起きている可能性があります。

「うちの子は若いからまだ大丈夫」と油断せず、早い時期から動物病院で歯の健康状態を確認してもらうようにしましょう。

監修:CUaRE 動物病院京都 四条堀川