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猫へのシャンプーの必要性と正しいシャンプーの方法について獣医師が解説

2024.07.23

こんにちは。
どうぶつ病院 京都 四条堀川獣医師 尾関康江です。

「飼い猫にシャンプーはした方が良いの?」
「おしりにうんちが着いてしまったのでシャンプーしてあげたい」
「もしシャンプーをするならどんなことに気を付けたら良いの?」
この様な疑問を抱かれてはいませんでしょうか?

今回は、猫の飼い主さんに

  • 猫のシャンプーについて
  • シャンプーが必要なシチュエーション
  • シャンプーをする時の注意点

について解説します。

是非、最後までお読みいただき、飼い猫のシャンプーについて知っていただけたら幸いです。

猫のシャンプー

飼い主さんから猫にシャンプーをした方が良いかという質問をよく受けます。基本的には猫にシャンプーは必要ありません。猫は自分で毛づくろい(グルーミング)をするため、体を清潔に保つことができます。また肉球しか汗をかかないため、汗臭くなることもあまりありません。

シャンプーが苦手な猫が多いのは猫の祖先が関与している可能性があります。猫の祖先であるリビアヤマネコは砂漠で生活をしていたため、水分がある場所が苦手なようです。進化の過程で水泳が特異な猫種もいますが、基本的にはシャンプーや水に濡れることを嫌がるようです。

シャンプーが必要なシチュエーション

猫にシャンプーは基本的に必要ないですが、必要に応じて清潔にしてあげる必要があります。シャンプーが必要な時は以下の様な状態です。

  • 便や尿で体が汚れた時
  • 皮膚病で皮膚に病変ができた時
  • 皮脂などで皮膚がべたつき、ふけが見られる時
  • 外猫を保護しお家に入れる時
  • 病気や老齢でグルーミングが行き届かなくなった時

シャンプーが苦手な猫が多く、特に保護したての猫はストレスがかかりやすいです。事前に動物病院でシャンプーの是非を相談されることをおすすめします。

シャンプーをするメリット

猫にシャンプーをするメリットもいくつかあります。

猫アレルギーの予防

猫の抜け毛、フケ、唾液は人にアレルギー反応を起こすことがあります。現在の研究では、シャンプーをすることでアレルゲンになる成分を一時的に減らす効果があることが分かっています。

毛玉による吐き戻しの軽減

猫のアポクリン汗腺から出る分泌物は毛を絡まりやすくします。シャンプーをすることで毛玉の防止につながり、吐き戻しを軽減することができます、

シャンプーの仕方

猫のシャンプーは、体が健康で状態が万全なときに行いましょう。
具体的なシャンプーの方法について解説します。

ブラッシング

シャンプーをする前にブラッシングをします。毛のもつれや毛玉を除去する目的があります。長毛種は特に毛が絡まりやすいので念入りにブラッシングをしておきましょう。

シャンプー途中に猫が嫌がって暴れる可能性もあるため、事前に爪を切っておくことをおすすめします。

体を濡らす

お湯は35〜38℃くらいのぬるま湯にします。

猫の体にまんべんなくかけ、被毛をしっかりと濡らします。大きな汚れを洗い流し、シャンプーの泡立ちをよくしてくれます。

シャワーヘッドを使用する場合は、お尻から始め、背中を通って首の周りという順番でかけていきます。その後、前足を持ち上げお腹にかけます。

シャワーヘッドを猫の体に直接あてるか、自分の手のひらで握るとお湯が勢いよく猫に当たるのを防ぐことができます。水の音やしぶきが出にくくなるためおすすめです。

バスタブや洗面器を使用する場合は、35度のぬるま湯をはります。猫をバスタブにいれ、張ったお湯をゆっくりとかけてあげましょう。

手早く洗う

手に取ったシャンプーを泡立てます。毛並みに逆らって泡で優しく洗っていきます。長毛種の猫は毛がからまりやすいので、毛の流れに沿って洗いましょう。お尻周り、手と足先は汚れが溜まりやすいので入念に洗うと良いでしょう。頭や顔周りは泡で直接洗わず、ガーゼやタオルなどを使いましょう。

すすぐ

被毛と皮膚を洗った後、しっかりとシャンプーをすすぎます。洗い流しが不十分だとシャンプーの成分が残って皮膚トラブルを起こす可能性があります。顔周りから始め、お尻にむかって流していきます。お湯をかけた時と同様、お湯が勢いよくあたるのを防ぎながらすすぎましょう。

地肌までしっかりとシャンプーを洗い流しましょう。

乾かす

大きなタオルで猫を包み全身を拭きます。途中でタオルを替え、しっかりと水分をふき取りましょう。ドライヤーをあてる時間を短縮できます。足の内側やお腹も忘れずに拭きましょう。

ドライヤーは1番弱い風量に設定し、猫から少し離れてあてていきます。被毛をかきわけて根本から乾かすと時間を短縮することができます。

シャンプーをする時の注意点

猫のシャンプーを行う時の注意点をいくつか解説します。

無理せずに行う

シャンプーが苦手な猫は少なくありません。事前に準備したり、手早く洗うことでシャンプーをする時間を短縮しましょう。また1度に全身を洗うことが難しい場合は、汚れた部分や皮膚病変がある部分だけ洗うので構いません。

猫用のシャンプーを使用する

猫の皮膚は人の皮膚に比べてとても薄くpH値が異なります。人用のシャンプーを使用すると猫の皮膚が荒れてしまいますので、猫用のシャンプーを使用するようにしましょう。

シャンプー以外に体をきれいにする方法

汚れや臭いが気になるけれどシャンプーをすることが難しい場合もあります。
以下の方法で猫の被毛を清潔にする方法もあります。

ドライシャンプー

すすぎが不要なドライシャンプーは、水を使わずに使用できます。シャンプーに比べると洗浄力は劣りますが表面の汚れや匂いを取るには十分なケアです。体への負担も少ないためシニア猫や子猫にも安心して使用できます。

蒸しタオル

蒸しタオルは飼い主さんと猫双方にとって負担の少なく手軽に取り入れられる方法です。汚れや油分を除去できる以外に、温まり血行がよくなるのでリラックス効果も期待できます。

シャンプータオル

人が使う使い捨てウェットシートに似ています。被毛についた汚れやほこりを除去するには十分な効果があります。完全室内飼いの猫におすすめです。

ブラッシング

完全室内飼いで短毛の猫では汚れはほとんど気になりません。ブラッシングでも十分なケアになります。

まとめ

猫の特性上シャンプーが苦手な子が多くいます。汚れなどが気になった場合は猫の健康状態を見て実施するようにしましょう。家庭でのシャンプーが難しい場合は、無理せず、動物病院やトリミングサロンでシャンプーをしてもらうようにしましょう。

どうぶつ病院 京都
獣医師 尾関康江