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自宅でできる!飼い主ができる日常観察ポイントを獣医師が解説

2025.05.20

愛犬の健康を守るために、日常的な観察は欠かせません。病院でのワクチン接種や健康診断だけでなく、飼い主様による日々のチェックこそが、体調の変化にいち早く気づく鍵となります。

「どこを見れば異変に気づけるの?」と感じている方のために、今回は自宅でできる犬の健康チェックのポイントをわかりやすく解説します。

ぜひ、最後までお読みいただき、大切な愛犬の健康にお役立ていただければ幸いです。

犬の健康を守るための日常観察の重要性

犬は言葉で不調を訴えることができないため、ちょっとした変化に気づけるかどうかが、健康維持のカギになります。元気がない、食欲が落ちた、歩き方がおかしいなど、病気の初期症状は日常の中にさりげなく現れることが多いです。

毎日の生活の中で犬を観察する習慣をつけることで、こうした小さな変化をいち早くキャッチでき、病気の早期発見・早期治療につながります。

また、普段から健康状態を知っておくと、動物病院での受診時にも的確な情報提供ができ、獣医師の診断の助けになります。

自宅で確認できるチェックポイントを解説します。

全身の見た目と動きのチェック

犬の健康状態を知るうえで、全身の見た目や動きのチェックは非常に重要です。以下のポイントを意識して、日頃から観察してみましょう。

✅被毛と皮膚の状態

  • 被毛にツヤがあるか、毛がごっそり抜けていないか
  • フケやかさぶたが多くないか
  • 皮膚が赤くなっていたり、湿疹ができていないか

→ 被毛や皮膚の状態は、栄養バランスや内臓の不調、アレルギーなどのサインとなることがあります。季節の変わり目や環境変化の際は注意しましょう。

✅ 体型・体重の変化

  • 触ったときに肋骨がうっすら感じられるか
  • 急に痩せたり太ったりしていないか
  • お腹周りに異常な膨らみがないか

→体重の急激な変化は、甲状腺機能低下症や内臓疾患の可能性があります。

✅ 歩き方や動きの様子

  • スムーズに歩いているか、びっこを引いていないか
  • ジャンプや階段の上り下りをためらっていないか
  • いつもより動きが鈍く、元気がない様子はないか

→ 関節のトラブル(膝蓋骨脱臼〔パテラ〕や関節炎)や痛みのサインかもしれません。

目・耳・鼻・口のチェック

犬の顔まわりは健康状態の変化が現れやすい場所です。日々のふれあいの中で以下のポイントをチェックし、緊急性が高い症状があれば動物病院を受診しましょう。

✅ 目

外見面

  • 目やにの量や色に変化はないか(特に黄色や緑色の目やには要注意)
  • 充血や白濁、涙やけの悪化などはないか
  • まばたきが多い、目を細める、光を気にするなどの行動がないか

行動面

  • 急に物にぶつかるようになっていないか  
  • 撫でたり触られることを嫌がるようになっていないか

→ 結膜炎や角膜潰瘍、白内障などの初期症状といったものかもしれません。目の病気の中には進行が早いものもあるため、早めの対応がおすすめです。

緊急性の高い症状

目の強い充血や腫れ、目を極端に気にする行動、急な視力低下がみられる場合は、角膜損傷や緑内障の可能性があり、早急な獣医師の診察が必要です。

✅ 耳

外見面

  • 耳がいつもより赤い
  • 茶色や黒色の耳垢が出る
  • 耳の臭いがいつもよりきつい

行動面

  • 頭を振っていないか
  • 耳を掻いていないか
  • 耳を触られるのを嫌がらないか

→外耳炎や耳ダニ感染症、耳道内ポリープが代表的です。特に垂れ耳の犬種(ダックスフンドやキャバリアなど)や夏場は耳の中が蒸れやすく、トラブルが起きやすいため定期的なチェックが重要です。

緊急性の高い症状

耳を強く痛がる、バランスを崩して歩けない場合は、重度の耳感染症や頭のトラブルの可能性があります。

✅ 鼻

  • 鼻先は湿っているか
  • 鼻水の色(透明・黄色・緑色など)や量に変化はないか
  • くしゃみが多くなっていないか

→ 鼻水の色や量が普段と違う場合は、鼻炎や歯のトラブルの可能性があります。鼻が極端に乾燥している場合は、体調不良のサインかもしれません。

緊急性の高い症状

鼻からの出血、呼吸困難を伴うくしゃみ、鼻づまりによる呼吸の苦しさがある場合は、重度の感染症や腫瘍、異物の詰まりの可能性があります。

✅ 口・歯

外見面

  • 口臭が強くなっていないか
  • 歯に歯石がついていたり、歯ぐきが赤く腫れていないか
  • よだれの量が急に増えていないか

行動面

  • 食べ物をこぼすことが多くなっていないか
  • 柔らかいフードを好むようになっていないか
  • 前足で口の周りを気にする様子はないか
  • 床や家具に顔周りをこすりつけていないか

→ 歯周病や腫瘍が代表的な病気です。歯周病は進行すると口臭だけでなく、内臓へも影響することから早めの対応が必要です。

緊急性の高い症状

口からの出血、急に食べられなくなった、口の中に明らかな腫れや外傷がある場合は、歯科疾患や口腔内腫瘍の可能性があります。

排泄物の状態をチェック

犬の排泄物(便や尿)は、内臓の働きや全身の健康状態を反映する重要な指標です。日々の散歩やトイレのお世話の際に、以下のポイントを意識して観察する習慣をつけましょう。

✅ 便

外見

  • 色 – 健康な便は茶色~こげ茶色。黒色便(消化管出血の可能性)や白っぽい便(膵臓の機能低下など)ではないか
  • 形状・硬さ – 適度な硬さでコロコロとまとまっているのが理想。水様便や粘液状の便は消化不良や腸の炎症を示すことも
  • 大きさ・量 – 食事量に見合った適量かどうか。極端に少ない、または多すぎる場合は消化吸収に問題がある可能性
  • 異物混入 – 未消化のフード、血液、白い糸状のもの(寄生虫の可能性)などが混ざっていないか

排便行動

  • 排便時に痛がる様子や、いきむ様子はないか
  • いつもより頻繁に排便姿勢をとるが、ほとんど出ない状態が続いていないか
  • 排便後に地面を激しく引っ掻く、お尻を引きずるなどの行動がないか

→ 便の異常は腸内環境の乱れや消化器官の問題を示していることがあります。食事内容の変化、ストレス、寄生虫感染、炎症性腸疾患などが原因として考えられます。

緊急性の高い症状

便に明らかな血液が混じる、真っ黒なタール状の便、24時間以上まったく排便がない、または水様性の下痢が続く場合は、腸閉塞や重度の消化管出血の可能性があります。

✅ おしっこ(尿)

外見

  • 色 – 健康な尿は淡い黄色~透明。

赤みがかった(血尿の可能性)り濃すぎる黄色ではないか

  • 透明度 – 濁りがないか、砂のような結晶物が混ざっていないか
  • 量 – 極端に多い(多飲多尿)、または極端に少な(乏尿)くはないか

排尿行動

  • 排尿姿勢をとるが、ほとんど出ない状態が続いていないか
  • 排尿時に痛がる様子や、鳴く様子はないか
  • 突然の失禁がないか

→ 尿の異常は腎臓疾患、尿路感染症、尿石症、糖尿病などの可能性があります。

緊急性の高い症状

尿に血が混じる、排尿姿勢を何度もとるが出ない、24時間以上まったく排尿がない場合は、尿路閉塞や急性腎不全などの命に関わる可能性があります。

緊急受診が必要な症状とは?

犬の体調変化に気づいたら、動物病院へ連れて行くべきか判断に迷うことがあります。以下のような症状が見られたら、速やかに動物病院を受診しましょう。

  • 意識レベルが落ちている  
  • けいれんを起こしている  
  • 呼吸が苦しそう  
  • 異物を誤食した  
  • 怪我や事故にあった  
  • 排尿困難が続いている  
  • 激しい嘔吐や下痢がある

動物病院を受診するまでに飼い主様ができることとしては、時系列に沿ってできるだけ細かくメモを取ることです。必要に応じて写真や動画を撮影しておくと、獣医師の診断の助けとなります。

まとめ

健康チェックは日々のお世話やスキンシップを通してできることが多いです。飼い主様の観察が愛犬の健康維持と病気の早期発見につながります。

少しでも不安なことがあれば、その状態をメモや写真に記録し、必要に応じて動物病院を受診しましょう。特に緊急性の高い症状が見られる場合は、迷わず当院までご相談下さい。

監修:CUaRE 動物病院京都 四条堀川